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【取材ノート:福岡】狙うは開幕スタメン。輝く新星ボランチ前田快

2026年1月27日(火)


1月24日、宮崎キャンプ最終日に行われた鹿島アントラーズとのトレーニングマッチ(45分×4本)。2027シーズンからの加入が内定している前田快(神奈川大学3年生)は見る者を何度も唸らせた。

対するは昨シーズンのJ1王者。これまで自身が経験したことのない強度が高く、質の高い相手に前田は怯むことなく、時間を追うたびにアジャストしていった。

「前半(1本目)は(相手の)鈴木(優磨)選手とかレオ セアラ選手とかのプレスバックが怖くて、なかなか前を向けなかったんですけど、そこは慣れてきたというところで、工夫をしたというよりかは、自分の中のモチベーションというかメンタルを変えて、逆にこのプレッシャーを剥がせたらチャンスになると感じてやっていました」

主力組と目される1・2本目にボランチで90分間プレー。
保持の局面では、「(相手の)エウベル選手がこっち(ボランチ)に喰いついたりというのが見えていたので、そこはシゲ君(重見柾斗)と話して『縦パスを入れるよ』というところは言っていた」と明かす2本目の13分に差し込んだ鋭い楔が象徴するように相手を欺くパスを何度も味方に送り、非保持の局面では、相手の攻撃の芽を摘む位置に立ち、果敢なボール奪取を何度も見せた。

高いレベルでも堂々たるプレー見せた前田を1本目から起用した狙いを塚原真也暫定監督は次のように話す。

「『この強度の中でどれだけやれるの?』というメッセージも込めてということがありました。その僕の思いは彼には伝えていないですけど、多分、受け取っていると思います。その中で、彼自身にしてみれば、今までだったらボールをここに置いても届かなかったであろう持ち方であっても、今日の相手(鹿島)はそれすら奪ってしまうような強さや連続性がある中で、この90分で、彼自身がもう1段階も、2段階も上(のレベル)に成長していってほしいなと思って起用しました。あとは見木(友哉)との組み合わせですね、これがどうなるかなという思いで使いました」

プレー強度は高く、技術もあり、運動量も豊富。繊細さを兼ね備え、攻守にハードワークできることが自身の特徴と話す前田は、現代サッカーのボランチに必要な要素を網羅する。「守備は見えているところに迷わず(プレスに)行く。悩むより先に身体を動かせと教わっているので、そこを意識しているのと攻撃ではより多くの局面で関わっていくということ」を常に意識し、的確なポジションにタイミング良く顔を出す。

攻守のツボを押さえるプレーの上手さだけでなく、周囲が驚くほどのメンタルの持ち主でもある。印象的なのは、この試合の2本目の途中、強い接触プレーでファウルを取られた前田に熱くなった相手の鈴木優磨が掴みかかってきた場面。

「ビビっていたら意味がない」

これまで画面を通して目にしてきたJ1を代表する選手に対しても動じることなく、ひょうひょうとした表情でその場を立ち振る舞い、その後も球際に強くプレーし続けた。

当然、ファウルを取られることは褒められたものではない。だが、常に紙一重の勝負が繰り広げられるプロの世界において、激しいコンタクトはつきもの。たとえ、若手であろうとも、球際で逃げることなく、強い闘争心で相手と渡り合わなければ、この世界で生き残っていくことは難しい。

「『物怖じしない』というのも強さの1つだと思います。彼のメンタリティというか、『今時の』とは言いたくないのですが、今時の若者らしくないというか、駆け引きの上手い相手に対して、簡単に下がることなく、むしろそれを上回って行くという姿勢がすごく見えたのは良かったですし、プレー面で言うと、ミスはつきものですけれど、そのリスクを持ちながらも、縦への(パスの)差し込みであったり、斜めにボールを運んでいくシーンもありましたし、守備の強さというものも見えたので非常に良かった」と評価する塚原暫定監督。彼は観察力に長けていると言う。

「いろんなことを見ますし、ピッチ外の普段の生活を見ていても、1つの行動をとっても『その選手と絡むんや』とか、そういうメンタリティは今時じゃないというか、一線を引く感じの子が多いと思いますけれど、自分からその線をどんどん超えて、相手の懐に入ってくる会話もできますし、怖気づかないというか、そういう選手ですね」

大学に在学しながら前田は、これまでにJ1では町田と福岡の練習に参加。最終的にアビスパのユニフォームに袖を通すことを決めた。

「福岡に行った時にすごく馴染みやすくて、しっかり下積みができるなというところで、その時にぐっと気持ちが決まったという感じです。今シーズンは百年構想リーグから始まって、自分は2027年度からのプロ契約なんですけど、今シーズンから試合に出られるようにアピールしていって、神奈川大学の監督からは『今年はどんどんアビスパの方に出て行っていい』と言われているんで、そこは言葉に甘えつつ、こっちで厳しく指導してもらって、自分が成長できればいいかなというふうに思っています」

2026シーズンは2026年JFA・Jリーグ特別指定選手になる見通しの前田。昨シーズン、見木と松岡大起が多く務めたボランチのポジションには、秋野央樹に加え、今シーズン湘南から奥野耕平、今冬の全国高等学校サッカー選手権大会で優勝を果たした神村学園から福島和毅が新たに加入し、定位置争いは激しい。その中で狙うのは開幕スタメンの座だ。

「(鹿島は)自分が今までサッカー選手で過ごしてきた中で一番強い相手だったので、自分の中で良い物差しになりました。こうやってトップトップの相手に対してやれた部分もあったので、そこは成長を感じたし、もっともっとやっていかないといけないというのはありました。コンスタントに自分のプレーを出せるようにしていくということと判断のスピードを上げていかないといけないと思いました。あとは全ての質を高くして、自分のところで(ボール)ロストするんじゃなくて、もっと前進できるようにしていきたい」と約2週間のキャンプを経て感じた手応えと課題を口にする前田。

目標にしているのは日本代表にも名を連ねる守田英正(スポルティングCP)。ボールを刈り取り、前に運んで、積極的にゴールに関わっていく。そんなプレーに磨きを掛ける福岡の新星の成長から目が離せない。

Reported by 武丸善章