早くも、あと10日ほどで『明治安田J1百年構想リーグ 地域リーグラウンド』が開幕する。1月10日から宮崎県・都城市でキャンプを行った東京ヴェルディは、同27日に全スケジュールを無事に終え帰郷。30日からは、いよいよシーズン開幕へ向けた本格的なトレーニングがヴェルディグラウンドにてスタートした。
ハーフシーズンというイレギュラーなレギュレーションだが、だからこそ、選手たちのかける想いもまた、例年以上の強さを感じる。
中でも格別な想いをもって挑んでいるのが林尚輝である。26日、今季の主将、副主将がクラブから発表され、昨季と同じ森田晃樹主将、マテウス副主将とともに、林が新副主将として選ばれた。キャンプ中、城福浩監督から直々に任命された。大学4年次以来の副キャプテン就任だという。
「今季、自分はディフェンス(DF)ラインの中心としてやっていく覚悟を持って東京Vに残りました。そこに『副キャプテン』という役職がついてきたという感じです。もともと今まで以上に自分が引っ張る意識とか、チームをまとめる、自分からチームを形成していくような働きかけをしようと思って臨んだシーズン。そのタイミングで副キャプテンという立場を与えられたというのは、逆に、この役職がついたからこそ言えることとかもあると思うので、ありがたく思っています」と、非常に前向きだ。
今オフ、昨季までDFの中心だった谷口栄斗が川崎フロンターレへ移籍した。「次のDFリーダーは誰が?」と注目される中で、自ら手を挙げない選択肢はない。
「もちろん、今までもそういう意識は持ちながらやっているつもりではいましたが、『つもり』ではダメな状況になったという感覚ですね。周りの誰が見ても、『林がリーダー』だと思わせる状況にしないといけないというのは、ヒロトが抜けたことでより一層求められることになると思っていますし、僕自身、その期待には応えていきたい」
そしてそれは、自身のステータスを高めることにもつながる。
「今年こうして(副主将という)役職を担うというのは、自分にとって必要な要素なのだと思います。今、日本を代表するセンターバック(CB)の選手の顔ぶれを見た時に、みんなそうした重要な役職に就いてチームを束ねることができる選手こそがトップ・オブ・トップで戦っているなというのを、昨年1年間やっていてすごく感じました。自分がその層に加わるためには、その経験値がすごく大事だなと思うので、心して取り組もうと思っています」
さらに、プライベート面でも、今季はターニングポイントとなるシーズンとなりそうだ。昨年12月26日に第1子となる女の子が誕生した。
「初めて『父』という立場にもなりましたし、副キャプテンにもなって、今、本当に自分がサッカー選手として、また、人間として成長できる環境にいると思っています。 僕自身、去年は怪我の連続で離脱した試合も多くて(リーグ戦全38試合中16試合出場)、『怪我のせいで』と思うことがけっこうありました。なので、今年はシーズン通して戦い抜くということが自分の中での大きなテーマ。まずはその怪我が多い自分と向き合わないといけないですし、子供ができたことで、より『サッカー選手として長く現役をやりたい』という思いもめちゃくちゃ強くなって。その意識の変化というか自覚が、今までとはだいぶ変わりました。なので、今年は『全試合出場』を絶対条件としてやり遂げたい。その中で結果を残す。その両方を叶えるハーフシーズンにしたいと思っています」
そうした責任感を感じながらのキャンプを、今季は無事に怪我なく終えた。その中で、日々直面する課題と収穫に向き合い、新チーム作りを進めてきた。キャンプ中、5試合のトレーニングマッチを行なった中で、あらためて「城福ヴェルディ」の根幹が明確になったことは大きな収穫だった。
「チームとして、2トップを試すとか、新しい取り組みをする中でうまくいかないこともありました。けど、それをトライしたからこそ、逆に自分たちが積み上げてきた『一番忘れてはいけないことがあるよな』ということを気付かされました。フォーメーションどうこうもありましたが、それ以上に球際、走る、スライド面もそうですし、自分たちの基本である『リカバリー・カバー』を出していかなければ、“ヴェルディらしさ“を失ってしまう。そこに気付けたからこそ、よりそこを意識してみんなが取り組めて、練習試合の結果にもつながっている部分はあったと思います」
5試合中、序盤3試合までは4失点、4失点、2失点と複数失点を重ねたが、4試合目、5試合目はいずれも無失点と、持ち前の守備力再建のめどが立ちつつあるという。
「正直、5試合中4試合までは結構苦しい内容でした。でも、ラストの練習試合で、最後はチームの持ち味である『走りきる』ということを徹底して戦って、内容、結果揃って出せそうな雰囲気を感じ取ることができたので、ここからさらによりチームとして詰めていけば、必ずいいものができるという期待をもつことができました」
新シーズン開幕までの約1週間、林がもっとも重要視するのは「丁寧さ」だという。
「それは、攻守にわたっていえることなのですが、僕はDFの選手なので主に守備面でいうと、大胆にスライドして守備をするシーンもありますが、そこでどれだけきちんと絞れるかとか、『こんなもんでいいや』という緩さをどれだけなくせるか。それは、自分たちが『無失点』を強みに戦っている(昨季J1最多タイの16試合無失点)中で、すごく関わってくる大切なことだと思っているところです。キャンプの時から、城福監督が今、ランニングメニューをめっちゃ増やしているのですが、それはやはり、そもそも走れないと成り立たない。そこはチームとしても突き詰めていかないといけないと思っていますし、いい守備からいい攻撃をするときに、出ていく時にも走力は必要なので、そういった質の面を、今、すごく口酸っぱく言われながらやっています。そうした『丁寧さ』『大胆さ』は、いい意味で必要かなと思っています」
そんな林の副キャプテン就任を、主将・森田晃樹は大歓迎する。
「リンくん(林の呼び名)は人一倍責任感が強いし、練習中もしっかりと声を出すし、発言もできる選手なので、期待したいですし、個人的には本当に適任だと思っています。今年、リンちゃんは間違いなくDFリーダー。GKマテ(マテウス)とセンターバックのリンちゃんとボランチの僕という真ん中のラインが本当に大事だと思うので、3人でしっかりとヴェルディの中心としてリーダーシップをとってやっていきたい」
林も、主将・森田のサポートについて、次のように話した。
「自分的には、(森田)晃樹はキャプテンというより『ヴェルディの象徴』というイメージ。たまに(厳しいことは)伝えるけど、そこまで口酸っぱく言うタイプではない。僕もそんなに言う方ではなかったと思うのですが、ある意味これが自分を変えられるチャンスではあるとは思っていて。なので、晃樹は変わらずそのままで、僕がそういった役割だったり、キャプテンの苦しさを少しでも担ってカバーしていければ、チームとしても良くなるんじゃないかなと思っています」
プロサッカー選手として。ヴェルディのDFリーダーとして。父親として。男性として。すべての面で器を広げるシーズンとすることを固く胸に誓う。
Reported by 上岡真里江
ハーフシーズンというイレギュラーなレギュレーションだが、だからこそ、選手たちのかける想いもまた、例年以上の強さを感じる。
中でも格別な想いをもって挑んでいるのが林尚輝である。26日、今季の主将、副主将がクラブから発表され、昨季と同じ森田晃樹主将、マテウス副主将とともに、林が新副主将として選ばれた。キャンプ中、城福浩監督から直々に任命された。大学4年次以来の副キャプテン就任だという。
「今季、自分はディフェンス(DF)ラインの中心としてやっていく覚悟を持って東京Vに残りました。そこに『副キャプテン』という役職がついてきたという感じです。もともと今まで以上に自分が引っ張る意識とか、チームをまとめる、自分からチームを形成していくような働きかけをしようと思って臨んだシーズン。そのタイミングで副キャプテンという立場を与えられたというのは、逆に、この役職がついたからこそ言えることとかもあると思うので、ありがたく思っています」と、非常に前向きだ。
今オフ、昨季までDFの中心だった谷口栄斗が川崎フロンターレへ移籍した。「次のDFリーダーは誰が?」と注目される中で、自ら手を挙げない選択肢はない。
「もちろん、今までもそういう意識は持ちながらやっているつもりではいましたが、『つもり』ではダメな状況になったという感覚ですね。周りの誰が見ても、『林がリーダー』だと思わせる状況にしないといけないというのは、ヒロトが抜けたことでより一層求められることになると思っていますし、僕自身、その期待には応えていきたい」
そしてそれは、自身のステータスを高めることにもつながる。
「今年こうして(副主将という)役職を担うというのは、自分にとって必要な要素なのだと思います。今、日本を代表するセンターバック(CB)の選手の顔ぶれを見た時に、みんなそうした重要な役職に就いてチームを束ねることができる選手こそがトップ・オブ・トップで戦っているなというのを、昨年1年間やっていてすごく感じました。自分がその層に加わるためには、その経験値がすごく大事だなと思うので、心して取り組もうと思っています」
さらに、プライベート面でも、今季はターニングポイントとなるシーズンとなりそうだ。昨年12月26日に第1子となる女の子が誕生した。
「初めて『父』という立場にもなりましたし、副キャプテンにもなって、今、本当に自分がサッカー選手として、また、人間として成長できる環境にいると思っています。 僕自身、去年は怪我の連続で離脱した試合も多くて(リーグ戦全38試合中16試合出場)、『怪我のせいで』と思うことがけっこうありました。なので、今年はシーズン通して戦い抜くということが自分の中での大きなテーマ。まずはその怪我が多い自分と向き合わないといけないですし、子供ができたことで、より『サッカー選手として長く現役をやりたい』という思いもめちゃくちゃ強くなって。その意識の変化というか自覚が、今までとはだいぶ変わりました。なので、今年は『全試合出場』を絶対条件としてやり遂げたい。その中で結果を残す。その両方を叶えるハーフシーズンにしたいと思っています」
そうした責任感を感じながらのキャンプを、今季は無事に怪我なく終えた。その中で、日々直面する課題と収穫に向き合い、新チーム作りを進めてきた。キャンプ中、5試合のトレーニングマッチを行なった中で、あらためて「城福ヴェルディ」の根幹が明確になったことは大きな収穫だった。
「チームとして、2トップを試すとか、新しい取り組みをする中でうまくいかないこともありました。けど、それをトライしたからこそ、逆に自分たちが積み上げてきた『一番忘れてはいけないことがあるよな』ということを気付かされました。フォーメーションどうこうもありましたが、それ以上に球際、走る、スライド面もそうですし、自分たちの基本である『リカバリー・カバー』を出していかなければ、“ヴェルディらしさ“を失ってしまう。そこに気付けたからこそ、よりそこを意識してみんなが取り組めて、練習試合の結果にもつながっている部分はあったと思います」
5試合中、序盤3試合までは4失点、4失点、2失点と複数失点を重ねたが、4試合目、5試合目はいずれも無失点と、持ち前の守備力再建のめどが立ちつつあるという。
「正直、5試合中4試合までは結構苦しい内容でした。でも、ラストの練習試合で、最後はチームの持ち味である『走りきる』ということを徹底して戦って、内容、結果揃って出せそうな雰囲気を感じ取ることができたので、ここからさらによりチームとして詰めていけば、必ずいいものができるという期待をもつことができました」
新シーズン開幕までの約1週間、林がもっとも重要視するのは「丁寧さ」だという。
「それは、攻守にわたっていえることなのですが、僕はDFの選手なので主に守備面でいうと、大胆にスライドして守備をするシーンもありますが、そこでどれだけきちんと絞れるかとか、『こんなもんでいいや』という緩さをどれだけなくせるか。それは、自分たちが『無失点』を強みに戦っている(昨季J1最多タイの16試合無失点)中で、すごく関わってくる大切なことだと思っているところです。キャンプの時から、城福監督が今、ランニングメニューをめっちゃ増やしているのですが、それはやはり、そもそも走れないと成り立たない。そこはチームとしても突き詰めていかないといけないと思っていますし、いい守備からいい攻撃をするときに、出ていく時にも走力は必要なので、そういった質の面を、今、すごく口酸っぱく言われながらやっています。そうした『丁寧さ』『大胆さ』は、いい意味で必要かなと思っています」
そんな林の副キャプテン就任を、主将・森田晃樹は大歓迎する。
「リンくん(林の呼び名)は人一倍責任感が強いし、練習中もしっかりと声を出すし、発言もできる選手なので、期待したいですし、個人的には本当に適任だと思っています。今年、リンちゃんは間違いなくDFリーダー。GKマテ(マテウス)とセンターバックのリンちゃんとボランチの僕という真ん中のラインが本当に大事だと思うので、3人でしっかりとヴェルディの中心としてリーダーシップをとってやっていきたい」
林も、主将・森田のサポートについて、次のように話した。
「自分的には、(森田)晃樹はキャプテンというより『ヴェルディの象徴』というイメージ。たまに(厳しいことは)伝えるけど、そこまで口酸っぱく言うタイプではない。僕もそんなに言う方ではなかったと思うのですが、ある意味これが自分を変えられるチャンスではあるとは思っていて。なので、晃樹は変わらずそのままで、僕がそういった役割だったり、キャプテンの苦しさを少しでも担ってカバーしていければ、チームとしても良くなるんじゃないかなと思っています」
プロサッカー選手として。ヴェルディのDFリーダーとして。父親として。男性として。すべての面で器を広げるシーズンとすることを固く胸に誓う。
Reported by 上岡真里江