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【取材ノート:今治】勝利のために、森晃太はきらめくタッチで泥臭く献身する

2026年2月26日(木)


明治安田J2・J3百年構想リーグの3試合目で、ようやく90分での勝利を挙げた第3節・FC大阪戦(〇2-0)。福島ユナイテッドFCからFC今治に完全移籍で加入した森晃太は、1-0で迎えた50分に左サイドから右足でインスイングの鋭いクロスを供給し、梅木怜のゴールにつなげてみせた。



「フリーな状態で(クロスを)上げられそうだったから、クロスの速さとボールの質に集中して、こだわって蹴った結果が得点だったので。ああいう形もどんどん出していけたらいいかなと思います」

ボールを持ってルックアップするタイミングでのことだ。背後を新加入のブラジル人ウイングバック、ロドリゴ ソウザが猛烈な勢いで駆け上がっていく。これも手助けになった。「ロドの動きを利用して、というか。カットインからクロスというのも自分の持ち味だし、自分は攻撃の選手でもある。時間帯を考えても、『ここで点が入ったら』と思いながら上げました」。

まさに、90分での勝利をグッとたぐり寄せる追加点のアシストである。貢献はそれだけにとどまらない。というか、試合の流れ自体を作り出す上で、非常に大きな働きを見せた。

そもそも前半半ばまでは、想定していたとはいえ、FC大阪のロングボールを軸とするパワフルなサッカーに、チームはなかなかペースをつかめないでいた。そんな中、エジガル ジュニオとの2トップの関係に縛られることなく、自在に落ちてきてはボールを引き出し、セカンドボールを拾って、ベクトルを前へと向ける。相手ボールになれば全速力で帰陣、コンパクトなブロックの先端を形成し、即座に守備の方向付けとプレスのスイッチャーとなる。チームが今治のサッカーを表現するために、攻守で率先して走り続けた。

「最初は相手の圧に押される時間もありましたが、耐えるところはしっかり耐えて、ボールを持つ時間が増えて落ち着いてきたタイミングで、いい形でシュートまで持っていって得点できました。あれが勇気につながった」

出色だったのは、相手との競り合いにも屈することなく前を向き、スルスルとドリブルで運んでいく推進力だ。それが、今治の時間を生み出すことにも直結した。

「そこのところで自分が起用されていると思うので。攻撃で推進力を出し、違いを作り出すことを、もっと突き詰めていきたいです。相手は激しく来るチームなので、そこで剥がせたら一気に前進できるし、ファウルをもらえる。そこは意識しました」

プレッシャーを受けながら前を向き、今治のチャンスにつなげていくプレーがひときわ強く胸を打つのは理由がある。0-1で初黒星を喫した前節・奈良クラブ戦で、自陣に落ちてGK山本透衣からのパスを足下で受けた際にボールを奪われ、失点につながっていたからだ。

「サッカーはミスのスポーツですし、そこでブレないことです。自分の技術を発揮するためにはボールを受けないとダメだし、そこを怖がっていたら、チームとして成り立たない。ボールを受けることは、いつも以上に意識しました。

相手を振り切ってゴール前に持って行ければ、エジ(エジガル ジュニオ)をはじめ、チームには点を取れる選手がたくさんいます。僕自身、数字が欲しいし、それが原動力になっています」

試合は75分、得点機阻止でCBガブリエル ゴメスが一発退場となる苦境に陥ったものの、84分に自身がベンチに退いた後もピッチ上のチームメート全員が体を張り続け、倉石圭二監督が今年のテーマの一つに掲げる失点ゼロを達成した。

ある意味で新鮮だったのが、84分の交代シーンだ。ピッチを後にすると、倉石監督との握手もそこそこに、熱く何かを語り掛ける。

「マークの受け渡しなど、プレーしながら感じたことを話しました。そこで自分はピッチを去るので、伝えなければいけないことがあると思ってコミュニケーションを取りました」

きらめくボールタッチの持ち主だが、実に泥臭く、勝利のために献身する姿が際立った。32分、梅木の右クロスにニアにエジガル ジュニオが飛び込み、その背後で駒井善成がダイビングヘッドで先制ゴールを挙げた場面でも、しっかりファーサイドに走り込んでいた。

半年間のJ2・J3百年構想リーグから、2026-2027シーズンへ。J1昇格へと今治をけん引する、頼もしいリーダーの一人が登場した。

Reported by 大中祐二