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【取材ノート:福岡】輝く秋野央樹と重見柾斗のボランチコンビの働き

2026年3月17日(火)


「ちょっと変な感じはありましたけど、選手として、このような日本一のスタジアムで満員のサポーターの中でプレーできたというのは、本当に幸せなことでした。長崎のみなさんの温かさというのを本当に感じられたので、『帰って来たなぁ』という思いと懐かしさと、ただ負けて悔しいなと。いろんな感情がありますけど、一言で言うと幸せでした」

明治安田J1百年構想リーグ 地域リーグラウンド 第6節・長崎戦。古巣対戦となった秋野央樹は、試合後のミックスゾーンで一瞬、頬を緩めて移籍後初となるPEACE STADIUM Connected by SoftBankでのプレーを振り返った。


互いにリスペクトし合いながら、熱く、正々堂々とぶつかり合ったJ1では初となる長崎とのバトルオブ九州。両チームのサポーターが作り出す素晴らしい雰囲気に後押しされ、アグレッシブに戦う選手たち。とりわけ、前節の5失点での敗戦を受け、守備の立て直しが急務だった福岡において、コンディション不良で出遅れ、今シーズン初先発となった31歳の秋野と大卒3年目となる24歳の重見柾斗のボランチコンビは、チームに安定感をもたらし、機能性を高めた。

これまでの試合は、「プレスに行く、行かない」の選手同士の意思が揃わない場面が多く、3ラインが間延びして相手にライン間を自由に使われてピンチを招き、失点を重ねる中で、長崎戦までの約1週間のチームトレーニングでは、重点的にコンパクトなミドルブロックを形成することに取り組んだ。

「自分たちのへその部分がブレたら、やっぱりチームは上手くいかないという話は、常にシゲ(重見)とはしていたので、守備の部分では、そこを絶対に空けない」(秋野)

この試合の前半は、狙い通りの守備を展開する。コンパクトな陣形の中で、秋野と重見が中盤にドンと構え、強烈な個の能力を持つ相手のアタッカー(マテウス ジェズス、ノーマン キャンベルに対し、球際を激しく、タイトな守りで自由な時間とスペースを与えず。決定的なチャンスを作らせなかった。

「対長崎というところでキーマンがはっきりしていたので、自分たちもブロックを敷くところと、僕もマテウス ジェズスのところをマンツーマン気味に付いてずっと(ボールを)入らせない」ことを秋野は意識し、重見は「そこ(2人のアタッカー)にボールを入れさせないというところの横のスライドだったり、縦のスライドというのは、チームとしてすごく意識した」と語る。

ボランチが安定すればチームが安定すると言われるほどサッカーにおいて攻守の中心となる重要なポジション。「良い守備からの良い攻撃」を表現したい福岡にとって、基本布陣となっている3-4-2-1のダブルボランチが機能するかがチームの出来を左右すると言っていい。

発信力が高く、左足の正確なキックを武器に長短のパスを織り交ぜながら攻撃のスイッチを入れることのできる秋野と運動量豊富で的確なポジショニングから強度高くボールを刈り取り、前線へと飛び出していくことができる重見。攻守にバランス良く、お互いの特徴を補完し合うコンビが「チームとして闘う姿勢」を示したこの日のピッチの中心にいたことは間違いない。

「重見はシャドーでもプレーできますし、ボランチもできますし、去年よりも、今が旬というか、すごく動きがいいのかなと思います。元々運動量もありますし、スピードもあるタイプなので、今日(長崎戦)の守備で言うと、相手にスピードのある選手がいましたけれど、そこに付いていくこともできていましたし、ボールを受けて捌いていくところは、ここ数試合を見ても良くなってきていると思います。今日一緒に出た秋野のところで言うと、逆に秋野はリズムをしっかり作ることができますし、ピッチの中で発信もできます。長崎さんのプレッシングは、前の3枚が連動して90分間フルでプレスをかけるというものではないと思うので、そこをかいくぐるためには、今日の秋野の受けた位置であったり、リズム感というのは、相手にとっても嫌だったのかなと思います」(塚原真也暫定監督)



残念ながらチームの狙いとする守備は、76分に打ち破られてPKから失点。後半はシュートチャンスを増やし、何度もゴールに迫ったが、得点は奪えずに5連敗。開幕からいまだに90分での勝利がない苦しい状況は続いている。だが、長崎戦でチームとしてやることが整理され、徹底できたことによって、秋野や重見のように個人の特徴が表現されやすくなったのもまた事実。「これをやり続けるしかないですし、下を向いている暇はないので、本当にチーム全員で前を向いて同じところを目指してやっていければ、必ず結果がついてくると信じて頑張ります」と重見が言うようにこの試合で示した最低限のベースを大事にこれから攻守にわたってチームとしても、個人としてもできることを一つずつ増やし、コツコツと力を積み上げて結果につなげていくしかない。

「相手に合わせて微調整は必要だと思うんですけど、ブロックを敷いて守るところから、(相手の)バックパスが入った時とかにいかにハイプレスに移行できるかというところ。ブロックをずっと組んでいるだけだと、90分通して難しいと思うので、今日のところをベースにしつつ、もうひとつ積み上げないといけません。守備から次の攻撃につなげるところとか、奪った瞬間のミスというのはまだ多いと思うので、そこの精度というのは上げないといけないと思います」(秋野)

18日には清水戦、21日にはガンバ大阪戦と中2日で連戦が続くタイトなスケジュール。次節は、これまでボランチの中心選手としてプレーしていた見木友哉が出場停止から復帰する。長崎戦で輝きを見せた秋野と重見のコンビからスタメンの変更があるのか。シャドーも含めた中盤の構成が注目される。

Reported by 武丸善章