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【取材ノート:今治】連敗中も動じることなく、梶浦勇輝は首位を叩いて勝利を誓う

2026年3月19日(木)


2年目のJ2を戦うことになるFC今治にとって、苦しい戦いが続いている。J2、J3が一つのグループに混在するJ2・J3百年構想リーグの6試合を戦って、現在8位。前節はJ3に参入して2年目のシーズンを控える高知ユナイテッドSCに0-2で敗れ、3連敗となった。


連敗中はいずれも無得点で、第4節(●0-2)の相手、アルビレックス新潟はJ1から降格してきた同カテゴリーのチームだが、自陣での連係ミスから失点して0-1で敗れた前々節の対戦相手、カマタマーレ讃岐はJ3。カテゴリーの違いは、あまり意味を持たない特別大会の難しさに直面している格好だ。

この大会だからこそ実現するといえる隣県ダービー、「四国サッカー遍路」2戦目の前節・高知戦も、守備の緩みを突かれて2点を失った。対戦時点で2位高知が好調ではあったが、作った決定機を物にできず、完封負けを喫した。

FC東京からの期限付き移籍の期間を延長し、昨シーズンに続いてチームの副キャプテンを務める梶浦勇輝は、現状に正面から向き合う。

「失点が安い。それから点を取れるビッグチャンスも3回はあった。決めるところで決め切らないと。結果的に負けてしまい、やっぱりサッカーはそういうものだと思います。(チャンスを)一つでも決めていれば、ゲームは全然変わっていたと思います」

倉石圭二監督が率いて2年目のチームで、ボランチ、あるいはアンカーを務める。中盤のセンター3人の立ち位置は、対戦相手や試合の展開に応じてフレキシブルに変わっていく。臨機応変に対応できるのは、それだけ監督の求めることを理解しているからだ。

「ここまで振り返ると、新潟戦以外の失点は自滅というか、防げる失点でした。だから逆に、失点しているからといって悲観せず、やろうとすることをやれてチャンスも作れているし、あとは決め切るところに本当にこだわってやっていきたい。3回のビッグチャンスで決まらないなら、もっとチャンスを増やしていく。そういう作業が今は必要です」

高知を率いるのは、昨年は新潟のヘッドコーチを務めた吉本岳史監督。だが今回は高知への復帰となる。一昨年まで高知の監督を務め、チームを初のJ3に引き上げた立役者であり、立ち位置で相手を翻ろうするポゼッションサッカーの完成度も高い。その高知を相手にボール保持で上回ったところに、今治が機能していたことが端的に表れていた。

「前線の守備がうまく行っていたのと、高知戦で右からの攻撃が多かったのは、自分が(最終ラインに)落ちて(梅木)怜を一個上げるやり方をしていたから。やりたいことは、少しはやれたかなというのはありますね」

狙いを発揮できたと手応えを感じられたシーンが、近藤高虎がワンテンポ置いてゴール前に走り込み、折り返しから右足で狙った27分の決定機だ。高知の3バックのセンター、小林大智が今治の前線、ウェズレイ タンキと入れ替わって前にボールを持ち出し、縦パスが入った。だが、そこでボールを奪った速攻からフィニッシュにつなげた。ラストパスの右からの折り返しは、チームで奪いに出た勢いそのままに攻撃参加した梶浦自身によるものだった。

「(守備で剥がされるのは)攻撃の選手は仕方ないです。でも、その後のパスの出しどころを与えていなかったと思うので。プレスが掛かったときは、しっかり取れているシーンが多かった。近藤選手のチャンスの場面も、前からはめに行ってのショートカウンター。良さが出たと思います」

次節、ホームのアシックス里山スタジアムで対戦する徳島ヴォルティスも、最終ラインからの配球を十分に警戒しなければならない相手だ。現在、グループ首位のチームを迎え撃つにあたり、「徳島は、前線の2枚だと思う」と、中盤のセンターでプレーする選手ならではの視点で戦いを見据える。前線の2枚とは現在、6試合連続ゴール中のルーカス バルセロスと、トニー アンデルソンのブラジル人2トップである。

「とりわけ、トニー アンデルソン選手が一番危険かなと思っていて。去年、アウェイで対戦したとき(第32節●0-1)は出ていませんでしたが、今の徳島の試合を見ていると彼がトップ下のような位置に入って、あれだけ大柄でありながらパワー系というより、しっかり足下に収められる。そこに体格を生かしたプレーも加わってくるので、警戒が必要だと思います。トニー アンデルソン選手のところから、多くの攻撃が始まっている印象です。彼がボールを収めると、サイドからどんどん徳島の選手が湧き出てくる。そこにボールを入れさせないことも大事だし、入ったらつぶすことを意識していきます」

昨年、アウェイでの対戦は、シーズン終盤でともに昇格プレーオフを懸けての激突だった。必ずしもホームチームのペースではなかったし、むしろ今治は攻守に狙いをよく発揮できていた。しかし、前から守備をはめに行った際の一瞬のズレを突かれ、ルーカス バルセロスに走られた揚げ句に、与えたPKを決められ、痛恨の黒星を喫した。

「去年の自分たちは、前線の2枚(名古屋グランパスに移籍したマルクス ヴィニシウス、ウェズレイ タンキ)に当ててという戦い方だったので、今年はまた違うかもしれない。ですが、去年の戦いでは本当にこちらが押していたし、チャンスも作っていた。でもPK1本でやられるという、去年の弱い部分が出たゲームでした。今年は選手も変わっているし、また別のゲームです。ただ、徳島は大きな変化がないと思うし、やっぱり守備は堅く、前線にはタレントもたくさんいます。タフな戦いになる」

今大会、徳島を率いるのはゲルト エンゲルス監督だが、昨シーズンはチームのヘッドコーチを務めていた。強力な前線のブラジル人2トップも健在。継続性、チームの成熟が感じられる。今治は倉石監督の2年目ではあるが、大黒柱だったマルクス ヴィニシウスをはじめ、主力の多くが移籍し、チームを構築している途上だ。完成度の違い、ギャップを自分たちの弱みにしないために、何が必要だろうか。

「チャンスで決め切ることです。そして、今は結果だけを求めます。1-0でも5-4でも、どんな形でもいいから勝つことに全員が執着してやっていく。そこに尽きます」

チャンスを決めるかどうかは、チームの完成度に左右されない。現段階の今治が発展途上であっても、チャンスを作れている実感があるし動じることはない。深刻にならず、極めて真剣、シンプルに、考えすぎず、勝利を目指す。

Reported by 大中祐二