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【取材ノート:琉球】過去を語らず、今で証明する。池田廉が燃やす静かなる闘志

2026年3月19日(木)


明治安田J2・J3百年構想リーグにおいて2試合のPK勝ちはあるものの、未だ90分での勝利がないFC琉球。目前に立ちはだかる現状の壁を打ち破るべく、チームの新たな軸を担おうと奮闘しているのが今年大分トリニータから加入した池田廉だ。ポジションや役割に留まらないそのプレーの輪郭は、彼の歩んできたキャリアとともにより鮮明になっている。

2020年から3シーズン琉球でプレーし、当時からボランチにとどまらず、シャドー、フォワードと状況に応じて役割を変えながらチームに貢献。どこでもできるユーティリティ性はチームのために自分を変えられる柔軟さの証でもあった。大分への移籍後は度重なる負傷に苦しむ時間を過ごしたが、昨年は24試合に出場し1ゴールを記録。確かな手応えをつかみつつも契約満了となり所属先が決まらない空白の時間も経験した彼だが、開幕直前に手を差し伸べた琉球のテスト生を経て、再びベンガラのユニフォームに袖を通した。それは単なる帰還ではなく、新たな覚悟を持った再出発でもある。



前節のレノファ山口FC戦では池田はアンカーでプレー。前線からのプレッシングが機能し、「いい時間帯はできている」と一定の手応えを感じている。一方で、「もっとボールに触りたかったし、前に行きたかった」と本人が葛藤を口にしたように、奪った後の展開において自らが中継役となって攻撃のスイッチを入れるという、プレーの質や判断の幅にはさらなる向上の余地を見据える。
池田の存在価値は、個々のプレーの良し悪しだけでは測れないものがある。攻守の切り替え、味方との距離感、試合の流れを読む力。ピッチ上のあらゆる要素を結びつけ、チームを機能させる接着剤のような役割を担っている点にある。とりわけ一本で局面を変える派手さよりも周囲を生かすプレー選択が際立ち、ボールを循環させながら味方の力を引き出すことに重きを置いてその連続がチームにリズムをもたらす。
その一方で、「もっと前に出たいし、ゴールに絡みたい」という欲求も隠さない。そのバランスをどう取るか。そこに彼自身の進化の余地がある。



今節は古巣の大分と対峙する。「良いプレーを見せられればいいな」という言葉はシンプルだが、その裏にはこれまでの経験すべてが詰まっている。過去を語りすぎることなく、今で証明する。それが彼のスタンス。チームとしては守備のベースが整いつつある今、求められるのは攻撃の最後の質とアイデア、そして90分を通したメンタリティ。その中心で流れを整え、基準を示し続ける存在がいることは大きい。ピッチの中央に立ち、チームをつなぐ。池田廉が体現しているのは、役割を超えた存在そのものの価値である。

彼が背負う46番は、大分時代に共にプレーし「一緒にサッカーができたのは自分の財産」と心から尊敬する清武弘嗣が2017年のセレッソ大阪時代に背負った番号に由来している。その番号を背負うにふさわしい自分を、池田廉はピッチの中央で証明しようとしている。

Reported by 仲本兼進
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