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【取材ノート:東京V】山見大登の見せた悔し涙にあらわれる、東京ヴェルディで芽生えた自覚と責任感

2026年4月10日(金)
2023年11月26日、J1昇格プレーオフ準決勝以来の対戦となった4月4日のJ1百年構想リーグEAST第9節ジェフユナイテッド千葉との対戦で、東京ヴェルディは2-3で敗れた。前半で0-2のビハインドを負いながら、後半からは自分たちらしさを存分に発揮し、開始直後に福田湧矢がバースデー・ゴールで1点を返すと、62分に吉田泰授のスーパー直接フリーキック(FK)が決まって同点に追いついた。その後も主導権を握ってゲームを進め、決定的チャンスも幾度と作ったが、決めきれずに一瞬の緩みから85分に被弾し黒星を喫した。

その責任を一身に受けたのが、73分に投入された山見大登だった。2度の決定機を不意にした。
特に決定的だったのが81分。DFからのロングパスに抜け出すと、完全にGKと1対1の場面を迎えた。落ち着いてループシュートを放ったかに見えたが、ボールはゴール左へと反れていった。


「GKがずっと前に出てたのを見ていたので、早めから蹴ろうかなとはずっと思っていた中で、ループ自体は狙っていた形ではあったと思います。ただ、あのシーンは、もう少し外にボールを持ちたかったなというのはありました。結構ド正面だったので、ニアに打つにも体を開かないといけないし、ファーに打つのにも開きすぎたらダメというのはあったので、逆にGKが真ん中にいたので、GKも多分どっちに飛ぶかわからないっていうのもあったので、上を狙いました。あれでもう1個、トラップの時点で右に行けてたら、もう1個選択肢が変わったかなというのはありますが。そこも、練習からそのボールの置き所であったり、トラップの運ぶ位置とか、そういった部分は今まで以上に気をつけなきゃいけないかなと思います」と自らの選択をフィードバックする。

その上で、さらに強調した。

「自分が決めてたら終わってた試合だった」

ただ、その内に秘められた悔しさと責任感、リベンジへのたぎる思いは並々ではない。その象徴だったのが、試合後に見せた涙だった。

試合終了後、落胆するゴール裏のファン・サポーターのもとへ、チームメイトたちの列の最後列でついていくと、背番号『11』は深々と、深々と頭を下げた。その姿に「や~まみひ~ろと ラ~ラララ~ や~まみひ~ろと ラ~ラララ~」の個人チャントの大合唱が送られたのだった。その偽りのない心ある温かい声援に、自然と涙がこみ上げてきた。

「自分のせいで負けたと思っていたので、ああいう風に迎えて入れてくれるとは思っていませんでした。すごくありがたいなと思いました。あのあと、インスタ(インスタグラム)のDMなどでもそういったメッセージが多く届いていました。逆に、それによって『次の試合とか今後に向けていい準備しないといけないな』とあらためて強く思いましたし、ジェフとは4月18日が後半戦の対戦で、すぐに試合が来るので、その試合で必ず取り返したいなと思っています」

(2024年まで在籍した)ガンバ大阪では、自分以上に得点力のある選手や主軸選手が何人もいたため、1回の得点逸機や1プレーにこれほどまでの重責を感じたことはなかったと明かす。だが、東京ヴェルディでは違う。期限付きだったとはいえ、加入した1年目の2024年にはチーム2位の7ゴールをマーク。昨季は右膝前十字靭帯損傷という大怪我を負ったため治療とリハビリに専念のシーズンとなったが、山見の戦線離脱による得点源減少の影響は明らかだといわざるを得なかった。
その自覚と責任感は、山見自身も強く感じている。

「やっぱり、チャンスを作るであったり、ゴール前で仕事するという部分では誰よりも違いを見せないといけないと思ってますし、前節の千葉戦も、2-2の場面で出ていって、攻撃においても守備においても自分のところがターニングポイントになったと思う。そこで決定機を外してしまいましたし、失点にも絡んでしまい、僕自身にすごく責任を感じました」

ここで印象的だったのが、決定機を外した攻撃面以上に山見が深く反省していたのが「守備」面でのプレーだったことだ。

「3失点目のシーンのところで、僕も含め、誰もボールアタックに行けなかったところはすごい反省点でした。試合直後は城福さんにも強く指摘されました。途中から出た選手が、ああいう形で失点に絡むというのは、このチームでは絶対にあってはならないことだというのは、ヴェルディに在籍してからずっと感じてる部分ではあるし、ずっと言われ続けてる部分ではあるので。正直、そこは自分が今までやってこなかった部分ではあるので、ペナルティエリア付近での戻りであったりとか、プレスやボールアタックに行くというのは、毎日の練習からやって、普通に何も考えずにできるようにできるぐらいまでのレベルに上げていかないといけないと、あらためて思い知らされました」

城福監督のサッカーでは、「守備」が絶対だ。どんなに攻撃力がある選手であろうと、一定のレベル以上の組織としての守備ができなければ、試合出場は巡ってこない。そのことを、東京ヴェルディ3年目の山見こそ誰よりも思い知らされてきた。その上で、26歳ストライカーは感謝してやまない。

「特に自分は、ミーティングとかでも守備での課題を指摘される回数が人より多いので、それでも使ってもらってる意味っていうのは、やっぱり攻撃で違いを出せるからだと思っています。だからこそ、そっち(攻撃)で納得させられなければ使ってもらえないと思いますし、守備ができない分、他の選手に迷惑をかけてしまう部分があるだけに、攻撃で貢献しなければいけないと思ってやっています」

昨季負った右膝前十字靭帯損傷は、復帰後1年目が一番再発のリスクが高いと言われている大怪我だ。その中で、今季はまだ先発出場はないが、今できる最大限の調整とチャレンジを経て、7月からの新シーズン開幕から100%の状態で挑めるよう努めている。

2月から5月末までの開催となる特別リーグ『明治安田J1百年構想リーグ』。昇・降格がないため、通常のリーグ戦以上に、その価値基準やモチベーションは各クラブ、各選手によって異なるに違いない。その中で、山見の見せた涙は、「目の前の1試合にすべてをかける」という、城福ヴェルディのフィロソフィーの象徴だった。
山見だけではない。悔しくも試合に出られなかった選手たち含め、全員がまた「次の1試合」に向けて最高の競争と準備を続けている。

Reported by 上岡真里江
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