
明治安田J2・J3百年構想リーグ WEST-Bグループの地域リーグラウンドで琉球は厳しい戦いを強いられている。第14節時点で勝点12の最下位に沈み、90分での勝利はわずか1試合。無得点の試合は8つにのぼる。ただ、そんな状況の中で攻撃を牽引しているのが、FW浅川隼人。チームトップの3ゴールを記録し、逆風の中で攻撃の核を担っている。
前節の鹿児島戦では、開始早々の5分に先制ゴールを奪った。石浦大雅のコーナーキックに合わせ、第11節の北九州戦から第13節の山口戦まで無得点に終わっていたチームに4試合ぶりの歓喜をもたらした。自身にとっては第10節の滋賀戦以来、リーグ戦3ゴール目。ボックス内で相手のマークを巧みに外す動きを見せると、「自分のところに来たボールを気持ちで押し込めた」と振り返り、ストライカーとしての嗅覚と戦術眼が光る一撃だった。
しかしその後鹿児島に追いつかれ、PK戦では2-4で敗れた。試合後、浅川は厳しく自己評価を下す。
「チームとしてなかなか勝ち切れていない中で、点を取っても勝たせられていないのは自分の課題。1点だけで満足せず、追加点や勝利に直結するゴールをもっと取らなければいけない」
チームを勝たせるゴールにこだわる姿勢は、戦術のすり合わせが難しいリーグ戦の連戦中であっても変わらない。相手のシステムや立ち位置に応じて「どこにスペースが空くか」を的確に理解しピッチ上で体現するなどクレバーな思考でチームを引っ張っている。
一方、ピッチを離れると浅川は温かい表情を見せていた。前節の鹿児島戦からスタジアム内に「芝生キッズエリア」が開設されたが、実は彼自身が発案したもの。「小さいお子様連れのママ・パパのおでかけをサポートし、安心してスタジアム観戦を楽しんでほしい」という強い想いから形になった。エリア内には木のおもちゃで遊べるスペースや絵本コーナーが設けられているほか、保育士が常駐して子どもたちを見守るなど、親子が安心して過ごせる工夫が凝らされている。試合後、そのキッズエリアの前を通った際、子どもたちから笑顔で「お疲れ様」と声をかけられ、彼の表情はほころんだ。自ら作り上げた場所での光景に「PK戦の末に負けてしまったけれど、こうして触れ合える特別な空間を作り出せたのは本当に良かった。沖縄の子どもたちが夢を見られるような安心安全な空間を作って、より琉球のことを好きになってもらいたい」と、地域のファンや子どもたちへ向ける愛情が言葉ににじんでいた。

ピッチでの勝利への飽くなき探求心と、未来を想う人間性。そのふたつを胸に、浅川隼人はきょうもゴールへと向かい続ける。
Reported by 仲本兼進