明治安田J2・J3百年構想リーグでは最終的に40チーム中の19位に終わった藤枝MYFC。その結果に対しては誰も満足していないが、プロチームを率いるのが初めての槙野智章監督の下で1月に始動し、新しいサッカーを一から構築してきた5カ月間。その背景を考えると、戦いながら積み上げてきたものに関しては、選手たちもスタッフも大きな手応えを感じている。
世界的に見てもサッカーリーグの引分率は25〜30%と言われており、2025年のJ2リーグでは28%、J1リーグでは26%だった。今年の百年構想リーグでも、PK戦の比率(引分率)はJ2・J3リーグで24%、J1で28%なので、一般的な数字と大差ない。
そう考えると藤枝の50%という数字は際立っており、そこについて槙野監督に質問したところ、次のような言葉が返ってきた。
「うーん、すごく(引分が)多いですね。ただ、一段一段階段を登ろうとしてきた中で、去年までの負けの数を減らすということは大事にしてきました。一気に負けから勝ちに変えるのは難しいし、まずは負けなくなる、難しい試合でも勝点を取るというところは、メンタリティやゲーム運びを含めてできるようになってきたので、そこはポジティブに捉えています」(槙野監督)
昨シーズンの藤枝は、9勝12分17敗だったので、比率で見ると勝24%、引分32%、負45%(小数点以下は四捨五入)。それが百年構想リーグでは、勝33%、引分50%、負17%と、確実に負けが減って引分と勝ちが増えている。
とくに90分負けが3試合というのは、J2・J3全体でも3番目に少なく、それを上回るのはWEST-Bグループ1位のテゲバジャーロ宮崎(1敗)と、EAST-Aグループ1位のベガルタ仙台(2敗)しかない。指揮官の言葉通り「負けなくなった」というのは間違いない。
そこはセンターバック出身の槙野監督が、「ラインを止める、相手を捨てるといった部分は去年までの悪い癖だったと思いますが、そこも1つずつ取り除いていって、今は後ろの選手たちはすごく安定してきたと思います。ボールを奪う、身体を張る、相手から自由を奪うというところも良くなってきました」と、細かな守備の課題を修正してきた成果が表われている。
また、その意味では、秋本真吾スプリントコーチを招聘して走力の強化に力を注いできた影響も大きいだろう。J2ではスプリント数やトップスピードのデータは公表されていないが、チーム内ではほとんどの選手が「自分もトップスピード(最高時速)が上がった」と語っており、チーム内の計測でもスプリント数はかなり向上しているという。
試合を見ていても、終盤になって足が止まるという状況や足がつる選手の数が減っていることは実感できる。最後まで足が動く、球際で足が出るということが、粘り強さに直結することは必然だろう。
そうした積み上げを踏まえて、勝負の2026/27シーズンに向けて槙野監督は次のように語る。
「8月からの新シーズンで、この引き分けを勝ちに持っていくこと。攻撃も守備も、1つ1つ失点を減らして、得点を増やすこと。お金があるチームは良い選手を獲ってくればいいけど、うちはそういうチームではないので、課題を1つ1つ整理して1人1人を成長させていくこと。チーム全員で次の段階に進んでいきたいと思います」
百年構想リーグでも、その言葉通り一歩一歩階段を上がってきた。それは2026/27シーズンでも着実に進んでいくだろう。その歩みが加速することも期待できる。
そして、積み上げが全体的にあるレベルまで達すると、一気に結果が伴うようになること、いわゆる「ブレイクした」と言われる現象は、選手だけでなくチームにもある。来シーズンの中で藤枝にそれが起こるかどうか、大いに楽しみにしたい。
Reported by 前島芳雄
まずは負けなくなるために
そんな中で、ひとつ興味深い数字がある。百年構想リーグでは、90分の勝敗が6勝3敗、PK戦が3勝6敗。通常リーグで考えれば、PK戦は引き分け(以下:引分)になるので、引分率がなんと50%もあるのだ。世界的に見てもサッカーリーグの引分率は25〜30%と言われており、2025年のJ2リーグでは28%、J1リーグでは26%だった。今年の百年構想リーグでも、PK戦の比率(引分率)はJ2・J3リーグで24%、J1で28%なので、一般的な数字と大差ない。
そう考えると藤枝の50%という数字は際立っており、そこについて槙野監督に質問したところ、次のような言葉が返ってきた。
「うーん、すごく(引分が)多いですね。ただ、一段一段階段を登ろうとしてきた中で、去年までの負けの数を減らすということは大事にしてきました。一気に負けから勝ちに変えるのは難しいし、まずは負けなくなる、難しい試合でも勝点を取るというところは、メンタリティやゲーム運びを含めてできるようになってきたので、そこはポジティブに捉えています」(槙野監督)
昨シーズンの藤枝は、9勝12分17敗だったので、比率で見ると勝24%、引分32%、負45%(小数点以下は四捨五入)。それが百年構想リーグでは、勝33%、引分50%、負17%と、確実に負けが減って引分と勝ちが増えている。
とくに90分負けが3試合というのは、J2・J3全体でも3番目に少なく、それを上回るのはWEST-Bグループ1位のテゲバジャーロ宮崎(1敗)と、EAST-Aグループ1位のベガルタ仙台(2敗)しかない。指揮官の言葉通り「負けなくなった」というのは間違いない。
2026/27シーズンは「次の段階に」
他の数字を見ても、1試合平均失点が2025年の1.32から今季は0.94と大きく向上。それに伴い得失点差も、2025年の-9から+4に向上している。印象としては、昨年までと比べてイージーなミスからの失点やいわゆる“安い失点”が大幅に減っており、終盤に押される展開になったときの守りきる力も増している。そこはセンターバック出身の槙野監督が、「ラインを止める、相手を捨てるといった部分は去年までの悪い癖だったと思いますが、そこも1つずつ取り除いていって、今は後ろの選手たちはすごく安定してきたと思います。ボールを奪う、身体を張る、相手から自由を奪うというところも良くなってきました」と、細かな守備の課題を修正してきた成果が表われている。
また、その意味では、秋本真吾スプリントコーチを招聘して走力の強化に力を注いできた影響も大きいだろう。J2ではスプリント数やトップスピードのデータは公表されていないが、チーム内ではほとんどの選手が「自分もトップスピード(最高時速)が上がった」と語っており、チーム内の計測でもスプリント数はかなり向上しているという。
試合を見ていても、終盤になって足が止まるという状況や足がつる選手の数が減っていることは実感できる。最後まで足が動く、球際で足が出るということが、粘り強さに直結することは必然だろう。
そうした積み上げを踏まえて、勝負の2026/27シーズンに向けて槙野監督は次のように語る。
「8月からの新シーズンで、この引き分けを勝ちに持っていくこと。攻撃も守備も、1つ1つ失点を減らして、得点を増やすこと。お金があるチームは良い選手を獲ってくればいいけど、うちはそういうチームではないので、課題を1つ1つ整理して1人1人を成長させていくこと。チーム全員で次の段階に進んでいきたいと思います」
百年構想リーグでも、その言葉通り一歩一歩階段を上がってきた。それは2026/27シーズンでも着実に進んでいくだろう。その歩みが加速することも期待できる。
そして、積み上げが全体的にあるレベルまで達すると、一気に結果が伴うようになること、いわゆる「ブレイクした」と言われる現象は、選手だけでなくチームにもある。来シーズンの中で藤枝にそれが起こるかどうか、大いに楽しみにしたい。
Reported by 前島芳雄