Js LINK - Japan Sports LINK

Js LINKニュース

【取材ノート:千葉】『水を運ぶ人』として陰でチームを助け、支える坂本將貴ヘッドコーチ

2026年6月25日(木)
他誌の話で恐縮だが、現在発売中の『サッカーマガジン2026年8月号 ジェフユナイテッド市原・千葉35年史』でお仕事をいただき、先日、坂本將貴ヘッドコーチにインタビュー取材をする機会を得た。

坂本ヘッドコーチの現役時代には練習後や試合後のコメント取材、そしてインタビュー取材や対談取材でたいへんお世話になってきた。それでも、現役時代の話がメインの今回のインタビュー取材で、筆者には少し意外だった坂本ヘッドコーチの当時の心情を改めて知った。

これも他誌の話で恐縮なのだが、筆者はかなり以前に『サッカーai』という雑誌の仕事で、阿部勇樹選手についてのチームメイトのコメントを複数集める必要があり、中西永輔選手にもアポなしでコメント取材をお願いした。
試合やプレー関連についてはしっかりと答えていただける中西選手だが、こういった内容の取材には少し口が重い傾向があった。だが、そんな時、坂本ヘッドコーチはこんなふうに言って、助け舟を出してくれた。

「エイスケさん、話してあげなよ。こうやって赤沼さんが来ているんだから」

やはり取材内容によっては時に口が重くなる阿部選手にアポなしの取材をした時にも、坂本ヘッドコーチは取材に対応するようにと阿部選手に言ってくれた。

そうやって記者を助けてくれるように、ピッチの内外でチームメイトに時には声をかけ、時には行動で見せて助け、支えてきたのが坂本ヘッドコーチだった。例えば、ランニングでは先頭に立って誰よりも外回りで走り、チームを引っ張る姿勢を見せてきた。

「なら良かったです。エイスケさんはあんまり喋らないからね。勇樹もそういう時はあまり喋らないし」

今回のインタビュー取材で、筆者が以前の取材で坂本ヘッドコーチに何度も助けてもらったことを告げると、そのように答えた坂本ヘッドコーチは自らこう話を続けた。

「そういう人と一緒にいることが多いんですよ、僕。(山口)智とは1年しか一緒にやっていないけど、今でも仲良くしていて、智とか、勇樹とか、エイスケさんとか、巻(誠一郎)とかもそうだけど、そういうふうに上に立つ人と一緒にいることが多くて、自分が常に上じゃないんだよね。それはすごく感じていて、自分って何なんだろうって考えることがあった。それが正しいのかも分からないんだけど(苦笑)。ほかのヤツらはみんな輝くなってすごく思っていて、輝くっていいなあって思いながら一緒にいました(笑)」

確かに表に立つことは少なかったかもしれないが、ある意味、誰よりも献身的にチームを引っ張ってきたと言えるのが坂本ヘッドコーチだ。ジェフユナイテッド千葉にとってJリーグ発足後初のタイトル獲得となった2005年のヤマザキナビスコカップ優勝、そして2006年のナビスコカップ連覇も坂本ヘッドコーチの活躍なくしてはあり得なかった。だから、現役時代の坂本ヘッドコーチが内心、そういった想いを抱き続けていたというのは少し意外に思えた。

「(イビチャ・)オシムさんの『水を運ぶ人はプレーには必要なんだ』という言葉がよくいろいろなところで出されていますけど、自分は昔からいつも表にいるほうではないと、陰のほうだと思っている。できることを探しながらやりたいと思っているけど、自分は上というか先頭には立っちゃいけない、そういうタイプじゃないなと昔から思っているんです。でも、このクラブのためにできることがあればと考えているし、このクラブに貢献したいという気持ちは今でもすごく強いです」

坂本ヘッドコーチは同い年の小林慶行監督を支え、2025年のJ1昇格プレーオフを勝ち抜いた千葉のJ1昇格に貢献した。本意ではないところは今でもあるのかもしれない。だが、坂本ヘッドコーチは今でも千葉というクラブの中で『水を運ぶ人』として活躍し、貢献している。

Reported by 赤沼圭子