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【取材ノート:今治】高みを目指してアベル モウレロ新監督の情熱が注がれる

2026年6月26日(金)


8月に開幕する2026/27シーズンに向けて、FC今治が新たな体制でスタートを切った。近づく台風の影響で雨模様の6月25日午後。初練習が始まる円陣の中心にいたのはスペイン・カタルーニャ出身のアベル モウレロ ロペス新監督、51歳だ。

「ピッチで楽しむ姿を見せてほしい。そして、『勝つのは俺たちだ!』という姿勢を見せてください!」。新監督の熱い言葉を受けて、来季を戦う選手たちは元気よくピッチを走りだした。最初のミーティングは午後3時半から。この日のトレーニングはファン・サポーター、報道陣に公開され、クラブは『午後4時ごろ練習開始の予定です』と告知したのだが、モウレロ監督の「俺たちが議論をするのはここ(ミーティングルーム)じゃない。ピッチだ」という、これまた熱い言葉によって4時になる10分以上前には選手たちは練習ピッチに姿を現していた。

オフ明けの初練習はウォーミングアップに続いてロンド、そして狭いエリアでのポゼッションと、さっそくボールを使いながら1時間を越えるものとなった。ロンド、ポゼッションでモウレロ監督は足を止めることなく、各グループを見て回りながら選手のボールタッチ、ボールを受ける体の向き、中間ポジションの取り方など、声を掛け続けた。そして良いプレーには賛辞を惜しまない。今回、クラブと最初の交渉の席で、すでに今治の選手全員の名前を憶えていたとあって、トレーニング初日から選手たちを愛称で呼んで、その距離感をみるみる縮めていた。

ハーフシーズンで行われた明治安田J2・J3百年構想リーグにおける今治の試合を、4月にはすべて追うようになっていたという。

「今治には5バックのときと4バックのときがあったと思いますが、どちらの試合もしっかり見ています。選手一人ひとりの特徴も。その上で新シーズン、今治のスタイルをしっかり確立していきたい。それはアベル モウレロのスタイルではなく、これまでの今治のベースの上に築かれていくものになります」

5バックは特別大会の途中までチームを率いた倉石圭二監督(現ヴァンラーレ八戸監督)、4バックは塚田雄二監督(現FC今治ホームグロウングループ、レディースグループ執行役員)のときに採用されたものだ。4月の監督交代が物語るように、ハーフシーズンのチームは成績が振るわず、大いに苦しんだ。そして新たに指揮を託されたのが、モウレロ新監督だった。

プロのトップチームで監督を務めるのは、今回が初めてとなる。スペインの2部、3部のチームのコーチを経て、2019年、リカルド ロドリゲス監督(現柏レイソル監督)率いる徳島ヴォルティスのヘッドコーチを務め、その後、スペイン(ジムナスティック・タラゴナ、デポルティーボ・ラ・コルーニャ)、韓国(蔚山現代、仁川ユナイテッドFC)、ギリシャ(オリンピアコスFC)、中国(山東泰山)と、活動の場は一気に世界へ広がった。多くのチームで担ったのが、戦術コーチの役割だった。

「今治に来るまでに、私はいろいろな国や地域のチームで仕事をしてきました。その経験からいえることは、ロッカールームでのみんなの振る舞いが特に重要だ、ということです。ハイレベルなロッカールームを作り出すために、さまざまな監督がどういう環境で選手マネジメントをしていくのかを私は見て、学んでいます。

今、この今治のロッカールームで私はチーム全体で上っていきたい、多くのことを吸収したいという、特別なハングリー精神を感じています。そこに私の情熱を組み合わせることによって、さらに高いところを目指します。今治の選手たち、クラブのプロジェクト、私たちが持っているものすべてをミックスできたとき、すばらしいものが生まれるはずです」

初めて監督を務めることは、どのようなモチベーションを与えてくれるのだろうか。

「子どもが新しいシューズを買ってもらって、『何か新しい冒険が始まるぞ!』とワクワクしているような感覚です。この気持ちを忘れることなく、新シーズンを戦っていきます。自分のこれまでの経験、知識、そして現在の年齢、すべてトータルで考えたとき、本当にベストの瞬間、タイミングでこのオファーが来ました。本当にワクワクしていますよ」

エネルギッシュでアクティブなサッカーを目指す、新たな一歩が記された。

Reported by 大中祐二