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【取材ノート:東京V】齋藤功佑、稲見哲行創設の『ONE FIELD』がイベント開催。「サッカーの価値を高めたい」に込められる深く熱い想い

2026年7月2日(木)


齋藤功佑選手(東京ヴェルディ)と稲見哲行選手(徳島ヴォルティス)が立ち上げたプロジェクト『ONE FIELD』のイベントが27日、長野県野沢温泉村で開催された。

『ONE FIELD』は「人と地域と夢を繋ぐ、たった一つのフィールド」の意味で、サッカーを通じて『人・地域・夢』をつなぐ共創型プロジェクトだ。

現役のプロサッカー選手ながら、傍らでそうした組織を立ち上げたのは、「『子ども』が夢を語り、挑戦し、諦めずに成長し続けられる」「『大人』が子ども伴走者として成長を支援し続けられる」「『地域』の活性化にコミットする」という「サッカーでつながり、人の想いと産業が循環していく場所を提供したい」との2人の強い思いがあったからだ。

今回、イベントが長野県野沢温泉村で開催されたのは、共同創設者である管野翔太氏(元湘南ベルマーレ株式会社取締役/チーフトレーナー)とのつながりが縁だった。



稲見は「地方の子どもたちに夢を持つきっかけを持てるようなイベントで、それを地方の大人たちが応援するという仕組みを形にしたいなという思いの中、今回ご縁をいただきました。野沢温泉村の上野雄大村長とも話をさせていただき、村長さん自身も元スキー選手として世界で戦っていらした経験があったこともあり、僕たちのイベントへの思いや活動に共感をいただいたので。そういう経緯があって、今回ここでやろうっていうことになりました」と、経緯を説明。

また、管野氏がパーソナル・トレーナー業を兼任しているため、齋藤、稲見に加え、その門下生として翌日から行われる2026/27シーズンへ向けた自主トレーニングに参加する福田湧矢選手、林尚輝選手(東京ヴェルディ)、谷口栄斗選手(川崎フロンターレ)、犬飼智也選手、仲間隼斗選手(柏レイソル)、広瀬陸斗選手(ヴィッセル神戸)、平岡大陽選手(京都サンガF.C.)の7名も同イベントに参加した。

午前、午後の部と2回に分かれて開催され、小学1年生から6年生まで総勢200名以上の子どもたちとその保護者が参加し、それぞれ約3時間、プロサッカー選手とのふれあいを楽しんだ。

開始直後は子どもたちもどこかよそよそしく、ウォーミングアップやボールを使った練習からも緊張が伝わってきていたが、全員で円陣を組んだり、ミニゲームで選手と一緒にボールを蹴り、ハイタッチをしたりなど、互いの“体温感”を感じられるコミュニケーションが増えていくうちにどんどん打ち解けていき、目に見えて笑顔と活気にあふれていった。

齋藤、稲見がこのプロジェクトを通じて伝えたい大きなテーマの1つが「成功よりも成長」だ。イベント中も常に「成功、失敗は関係ない。それよりも、どんどんチャレンジして、たくさん失敗して、それでもさらにチャレンジしてほしい」と、言葉で、プレーや立ち居振る舞いで、子どもたちの積極性を促しトライを導いていた。

その成果とも言えるだろう。選手との3対3の「シュート対決」では「やりたい子はー?」と募ると何人もの子どもが手を上げ、挑戦意欲をアピールした。「質疑応答」でも次々に手が挙がり、「なぜサッカー選手になったのですか?」「シュートが上手くなるために、どんな練習をしていましたか?」「子どもの頃憧れていたサッカー選手は?」など、多岐にわたる質問でプロ選手たちから普段なかなか聞けないエピソードを引き出した。



イベント終了時には、参加した子どもや親御さんたちから「ありがとう」と感謝の嵐。さらに、プロ選手たちからも「出てよかった」との声も聞けたことで、主催した齋藤、稲見もあらためてプロジェクトへの手応えを感じたという。

齋藤が「終わった後のみんなの笑顔や会話を見聞きして、『楽しんでもらえたんだな』と感じました。プロの選手に自分から絡みにいく子どもたちが多かったので、参加してくれたプロ選手たちもすごく子どもたちと触れ合っていましたし、それを見て親御さんも笑顔になっていました。本当に、みんなの笑顔が生まれるイベントになったなと思います」と充実感を口にすると、稲見も「楽しんでくれていたプロ選手もすごくたくさんいました。(質疑応答の回答で)選手それぞれがプロサッカー選手になった経緯が違うこともあらためて知れましたし、その他の質疑にも本当にたくさん答えてくれました。それぞれの選手がいろいろなアプローチで子どもたちに接してくれていることが伝わってきました。終わってから、参加してくれたプロ選手からも『ありがとう』という声をいただいた。賛同して参加してくれた選手達に心から感謝していますし、本当に素晴らしい選手が参加してくれたなと思っています」と付け加えた。

盛況に終わり、今後の活動への自信とさらなるモチベーションを得たところで、あらためて『ONE FIELD』を通じて伝え、広めていきたいことを訊いた。

齋藤:「『サッカーの価値を高めたい』という思いがずっとあって。時代的にも、携帯などで情報が得られてしまう時代ですが、『体験すること』の価値は、その人の人生に大きな経験値として残ると思うんです。そういった『人間だからこそ感じられるもの』を提供したいなという思いがありますし、シンプルにプロサッカー選手を目指す子たちに、このイベントの中でも強調した『成功よりも成長』、つまり、チャレンジすることを恐れずにやってほしいなと。で、プロサッカー選手を目指した中で、もしなれなかったとしても、夢や目標に向かってチャレンジしたことや、そこで感じたり得られた経験は、次の人生にも必ず生かされるよということを伝えていけたらいいなと思います」

稲見:「僕らはサッカーを日本で1番のエンタメ(エンターテイメント)にしたいという思いで活動しています。そのためには、クラブチームの協力はもちろんですが、さらにクラブチームだけではできないような、例えば他クラブの選手との協力だったり、こうして地方に来ていろいろな方と協力するなど、選手が主体的に動くことが、僕らのビジョンを成し遂げる上で必要なことだと思っています。

僕らも『プロサッカー選手になる』という夢をずっと追いかけてきて、サッカー選手になれました。その夢を追いかける過程で学んできたこと、経験してきたことは『人生』にとっても役立つということを僕は本気で思っています。今日参加してくれた子どもたちのほとんどが、『プロサッカー選手になりたい』という夢を持っているかもしれませんが、それ以外でもいい。どんな夢でもいいので、夢に向かって努力したり、いろいろなことにチャレンジしていくという経験が、必ず自分の人生に役立つ。そして、子どもがそういうチャレンジをできるようなサポート体制を、地域ももちろん、大人全体で子どもが主体性を持てるようにサポートしていくことが大事だということ。そうした思いをこれからも伝えたいなと思っています」



「チャレンジ」「成功より成長」。大人になってしまうと「結果」も求められ、どうしても忘れがちになってしまうワードの連続だ。だが、その言葉に感化され、勇気をもって自分なりのトライをする純真な子どもたちの姿が随所で見られた。そんな子どもたち、そして日頃は人生をかけて技術向上やチームの勝利のために決死の思いで鍛錬を積み重ねている参加選手たちの屈託のない笑顔を目の当たりにし、取材者としても非常に多くのことを感じ、学ばせていただく機会となった。

Reported by 上岡真里江