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【取材ノート:大宮】自分自身も積み上げて――相馬直樹監督、2季目のシーズンへ

2022年11月9日(水)


「思うようにならなかったところがたくさんあったかな」

自身がチームを率いてきた5か月間余りを振り返り、相馬直樹監督はそう語った。

就任初戦の明治安田J2第19節東京V戦では、それまでになかったアグレッシブな戦いぶりを見せ、第21節秋田戦では初勝利を挙げる。チームの変貌を予感させる出だしだったが、事はそう簡単には運ばなかった。その翌節から、3連敗を含め未勝利が8試合続いた。

中でも苦労したのは、コミュニケーションだと言う。

「キャンプを経てきているのとではだいぶ違うんだろうなとは思いました。こうやろう、こういう方向で行こう、と言った時に『よっしゃ』となってくれるか、うまくいかない時に『それでも』となってくれるか。そうしたいろんな意味でのコミュニケーションは、シーズン途中からチームに来た中で、なかなか簡単ではなかった」



ターニングポイントになったのは、その未勝利から脱出した第30節、ホーム横浜FC戦。その時点での首位チームを相手に、先行しては追いつかれる苦しい展開の中、それでも最後は勝点3をもぎ取った。


「それまでもいいほうに持っていけそうなところはあったけど、勝ちにならなかった。そこが実際に勝ちになったことは大きかった」

その中で、少しずつチームは変化していく。

「スタッフワークを含めて、ありがたいことにみんなから力を貸してもらえた。勝てば何でもいいというような形で臨むことにはならずに、しっかりと積み上げながら勝ち星につなげていくことはできた」



さて、来シーズンである。第40節山口戦でJ2残留を確定させた後、原博実フットボール本部長は「相馬監督にやってもらうつもりで準備している」と明かした。まだ正式発表されていない中ではあったが、相馬監督自身も「そう受け取っていただいていいと思っています」と話した。

「当然苦しい期間ではありましたけど、また新しい経験をできたと思いますし、僕にとっても貴重な時間になりました。方向性は出てきているし、この半年をアドバンテージにしなければいけない。選手補強だけでなく、僕自身も現状維持ではなくて、少しでも積み上げを持てるようにしなければいけない」

早晩、続投は発表されるだろう。そうすれば、次は強化部の仕事だ。今度こそ、指揮官が存分に手腕を発揮できるバックアップができるか。上位を目指せるチーム作りができるか。これまでの負のサイクルを断ち切る、何よりの機会である。


Reported by 土地将靖