Js LINK - Japan Sports LINK

Js LINKニュース

【取材ノート:神戸】神戸でプロデビューの郷家友太。マルチな才能を次は地元・仙台で

2022年12月13日(火)
12月12日、郷家友太のベガルタ仙台移籍が発表された。2018年にヴィッセル神戸に加入した郷家は、プロ1年目からJ1リーグ22試合に出場するなど活躍。神戸在籍5シーズンでJ1リーグ通算108試合に出場し10得点をマーク。ACLでは12試合で2得点という成績を残している。今シーズンもJ1リーグ戦18試合に出場していた。

加入する仙台は、郷家がジュニア、ジュニアユース時代に在籍した地元クラブ。東日本大震災を経験した小学5年時には、1カ月以上もサッカーができない中でベガルタ仙台に勇気をもらったという。そんな愛着のあるクラブで、郷家がどんな成長を遂げるか楽しみだ。

郷家の取材で、印象に残っている言葉がある。ボランチからFWまでを起用にこなす彼に、自分の適正ポジションをどう考えているかを尋ねた時の答えである。

「あえて適正ポジションを作らない。というのが自分の適正ポジションだと思っています」

アンドレス イニエスタのような“フリーマン”というニュアンスではない。起用されたポジションでしっかりと役割を果たすという意味だ。郷家はこうも話している。

「どこで使うかは監督が決めること。自分は求められた役割を果たすために準備をするだけです」

複数ポジションを高い次元でこなせる彼の能力が最も発揮されたのは、クラブ史上最高のJ1リーグ3位に入った2021年シーズンではないだろうか。三浦淳寛元監督にマルチな才能を認められた彼は、キャリアハイのJ1リーグ32試合に出場している。ケガ人を多く抱えた中で、郷家はボランチ、サイドハーフ、トップでプレーし、チームの躍進を支えている。

トップでスタメン出場し、途中でサイドハーフ、ボランチへとポジションを変えながらプレーを続けた試合もある。これほど起用な選手はなかなか珍しいだろう。

仙台ではどんな役割を求められるのだろうか。神戸の担当記者の1人としては、そのマルチな才能に加え、ピッチ上の王様、いわゆる「キング」に君臨する郷家友太を見てみたいと思っている。足元の技術、戦術眼、フィジカル、空中戦、ゴール前の迫力…、どこを切り取ってもキングになり得る素質を備えていると思うからだ。

奇しくも、2019年のFIFA U-20ワールドカップを共に戦った小林友希と同じタイミングで神戸を離れることになった郷家。当時、大会初戦のエクアドル戦で負傷した彼は思うような活躍ができずに帰国し、こんな話をしてくれた。

「(U-20ワールドカップの経験を次にどう活かしたい?)代表として残っているカテゴリーは東京2020オリンピックとA代表だけなので、そこに割って入れるようにJリーグで活躍したい。そしてクラブに貢献して海外に行くのが僕の夢。まずは世界を経験してきた僕と小林(友希)が神戸の若手選手を引っ張っていきたい」

東京2020オリンピックは最終的に代表メンバーから外れた。だが、U-20ワールドカップを共に戦った瀬古歩夢(C大阪)がU-24日本代表に選出され、伊藤洋輝(VfBシュトゥットガルト)が今回のFIFAワールドカップカタール2022で日の丸を背負っている。4年後、今回の仙台移籍が正しかったと振り返られるような活躍を期待したい。

Reported by 白井邦彦