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【取材ノート:長野】J1クラブで揉まれた19歳コンビ。プロ2年目のブレイクなるか

2023年1月17日(火)


「上位カテゴリーの有望な選手を獲得して、選手・チームのクオリティを一段上げる」。AC長野パルセイロの村山哲也強化アドバイザーは、今季の補強方針について、新加入選手記者会見でそう話していた。

その言葉通り、上位カテゴリーから木原励、西田勇祐、佐古真礼の3名を育成型期限付き移籍で獲得。浦和レッズから加入した木原と横浜F・マリノスから加入した西田は、J1のトップレベルを知る存在でもある。

木原は昨季、京都橘高から浦和に加入。ACLで1試合に出場し、タイのムアントン・ユナイテッドに練習参加するなど経験を積んだ。出場機会こそ少なかったが、宮本優太(現KMSKデインズ)にフィジカルトレーニングを、江坂任(現蔚山現代FC)に動き出しを教わるなど、先輩から多くを吸収した。



とりわけ江坂からは「『このタイミングでここに抜けたら点取れる』とか、『このクロスの時はここに入れば(ボールが)来るかもしれないし、抜けたことによって違う人が点を取れたりするかもしれない』とか、いろいろなことを教えてもらった」。練習では絶妙な動き出しからシュートを放つシーンが見られており、その教えが生きているのかもしれない。

タイでの経験も貴重だった。11月9日から12月1日までの約1カ月間、クラブのパートナーシップの一環としてムアントン・ユナイテッドに練習参加。「タイはすごく展開が早くて、『さっきそこにいたのに、もうそっちに行ってるんだ』みたいなところも結構あった。球際の部分もすごく激しかった」と振り返る。J3は球際でのバトルが多いリーグだが、「そこ(タイ)で学べたことはすごく生かせると思う」と前を向いた。

西田も同様に大きな経験を積んでいる。横浜FMユースから昇格した昨季は、公式戦での出場がゼロ。一方でともに昇格した山根陸は出場機会を得ており、「メンタル的に来るところはあった」と吐露する。その中で心と体の支えになったのは、自身が“師匠”と呼び慕う岩田智輝(現セルティックFC)の存在だった。



「一番最初にご飯に誘ってもらった」という先輩と親睦を深め、夏場から「岩田塾」へ入門。唯一の門下生としてフィジカルトレーニングを学んだ。昨季の登録体重は72kgだったが、今季は74kgに増加。練習から激しいプレスを仕掛け、当たり負けない強さを見せている。

その背中からも多くを得ている。岩田はJ3からJ2、J1とステップアップし、プロ8年目の昨季にJリーグMVPと海外移籍をつかんだ。プロ駆け出しの西田にとっては、道しるべとも言える存在。今季は岩田が横浜FMで背負っていた24番を着用し、「個人としてはJ3ベストイレブンに入りたい。それくらいの結果を残さないと上には上がっていけない」と覚悟を示した。

J1クラブで揉まれた2人のギラギラ感は、チームにハイレベルな競争をもたらす要素になり得る。すでにその兆候は見られており、今季への期待は膨らむばかりだ。

Reported by 田中紘夢