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【取材ノート:新潟】自分に矢印を向けられる太田修介が2023年の新潟を変える

2023年2月10日(金)


寒さと雪で、この時期、本拠地でサッカーをすることがままならないアルビレックス新潟。チームは毎年、およそ1カ月に及ぶ長期キャンプに臨むことになる。今年は1月17日から2月11日までで、場所はなじみ深い高知市の春野総合運動公園だ。春野キャンプは、15年連続となる。

これだけ長いキャンプは初めてと言うのが、FC町田ゼルビアから加入したFW太田修介である。ボールを保持するスタイルが色濃いチームに加わると、その爆発的なスピードと、それでも失われない卓越したボールコントロールで、さっそくトレーニングの「日常」を変えつつある。

「終わってみると、あっという間でした。14日間、オフなしでこれだけ2部練習が続いたのも初めての経験でしたが、毎日、吸収するものがあって、充実したキャンプだったと思います。『チームとしてこういうふうにやってきたいから、このトレーニングをする』というように、練習の狙いがはっきりしていて、充実した疲労感があります。良いキャンプだったと思えるように、開幕から結果を出していきたいです」

チームは今シーズン、6年ぶりのJ1を戦う。インパクトのある内容と結果を出すための準備は順調に進んできた。ただ、キャンプ地の立地的に、J1のチームとトレーニングゲームを組みづらいのも事実。今年、高知でキャンプを行ったのはJ2の徳島ヴォルティス、ブラウブリッツ秋田、J3のカターレ富山の3チームだ。

「もちろんJ1のチームとやってみないと、現在の自分たちの立ち位置がなかなか見えてこないというのはあります。とはいえ、キャンプ地のことは自分たちで変えることができない。その中で、カテゴリーが違う相手であっても、『自分たちはもっとこうできるんじゃないか』と意識することでモチベーションは高まるし、『J1だったら、こうなるんじゃないか』と想定することもできます。そうやって自分たちのレベルを上げていく。そういう話は、キャンプ中にチームの中で何回も出てきたし、あとは自分たちがやるかどうかです」

ベクトルを自分に向ける姿勢は、町田でしっかり身に付けたものだ。2021年、ヴァンフォーレ甲府から町田に移籍したとき、ランコ ポポヴィッチ監督(当時)から言われたのは、「お前には能力があるから、チームで一番、厳しく接する。俺のプレッシャーに耐えられたら、選手としてどんどん上のステージに行ける」だった。

「ポポさんには、ずっと愛情あるしかられ方をしてきました。去年の最後にポポさんと一緒に2年間を振り返ったとき、『お前はよく耐えて、自分にベクトルを向け続けた。だから成長できたし、次のチームでも自分を信じて、疑うことなくやり続けろ』と言われたんです」

キャンプでは右サイドハーフの位置で、ウインガー的な役割を担っている。だが、型にはめられるわけではない。松橋力蔵監督が熱望し、獲得が実現した太田について、寺川能人強化部長は攻撃ならすべてのポジションができることが強みだとする。ベースとなる4-2-3-1の2列目すべてに加え、1トップも構想の範囲内で、それだけチーム内の競争を活発にすることが期待されている。自分と向き合うアタッカーが、2023年のチームへとバージョンアップさせる。

Reported by 大中祐二