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【取材ノート:名古屋】名古屋グランパス四季折々:「日本に来てからの夢」はもう目の前に。ターレスの名古屋デビュー迫る。

2023年3月23日(木)


それは通過点のひとつに過ぎないが、それでもひとつの大きな目標、彼にとっては“夢”として見ていることが目の前に迫ってきた。26日に行われるJリーグYBCルヴァンカップのグループステージ2節、アウェイの広島戦におけるメンバー構成を予想する中では、今季新加入のターレスの起用も十分に可能性が出てきている。「J1でプレーするのは、日本に来てからの夢でしたから」。21歳のブラジル人アタッカーはいつもより少しだけ嬉しそうな声色で、週末の自分を想像した。

2021年に熊本の秀岳館高校から熊本に加入し、昨季は名古屋所属選手として期限付き移籍で熊本でもう1年プレー。両サイドがこなせるサイドアタッカーは、見るからに強靭な身体を押し出すようなドリブルと、パワフルなシュートが魅力だ。1年間の武者修行を終えて合流した名古屋ではキャンプで負傷し出遅れはしたが、そのポテンシャルはスタッフからも選手からも認められる存在だ。同胞のマテウスは昔の自分を見るような目でターレスに話しかけ、「ものすごい潜在能力がある選手。もちろんいろいろ教えるよ」と先生役も買って出た。ターレスもマテウスとは練習中もその前後も常に話している印象で、「ボールを持っている時のこと、ボールを持っていない時にはどの動きをした方がいいとか教えてくれる。そういうことは自分でもしっかりやろうと思います。だって、マテウスはずっと試合に出ている選手だし、自分も彼からちゃんと勉強しないといけない」と実に謙虚だ。



名古屋での起用は、当初はウイングバックが想定されていたが、和泉竜司や甲田英將の台頭によってシャドーでの起用に切り替えられた模様。今回起用されればマテウスとのコンビになりそうで、いろいろな意味で連係のとりやすい2列目になるというのも彼には追い風。練習試合での起用を見ても前線での守備のパワーやドリブルに持ち込んだ際の迫力はあり、欲を言えばその突破力にアシストや得点という結果を伴わせたいところ。少し単調な部分を周囲との連係で“隠す”ことができれば、その長所がもっと前面に押し出せるかもしれない。名古屋の前線は個の力も主張も強いイメージがあるが、酒井宣福や長澤和輝など、周囲との調和を重んじるタイプもいる。だからこそ組み合わせによるところは大きくなるが、弟分とのプレーでマテウスに余裕が生まれれば、ここまで結果だけが出ていないエースの覚醒にも一役買ってくれるかもしれない。

「夢に思っていたことが、あとちょっとじゃないかなってところまで来ている。実はめっちゃ緊張しています」

ターレスはにっこりと笑う。周囲のチームメイトは「全然緊張しなくていい、そして思い切ってやればいい。全然大丈夫だよ」と背中を押してくれているという。ブラジル人、日本人問わずアドバイスは多く、「ちゃんとそれは頭にはあって、試合の中でも練習でも、思い出しながらプレーできている」とターレスの貯金も増えている。自分のプレースタイルを変えるほどではなくとも、選択肢は増えた。今まで見えなかったところが見えてきているならば、今までの彼のイメージにはないスーパープレーが飛び出しても不思議ではない。



広島戦が彼の移籍後初試合となるかはまだわからないが、その時は確実に迫ってきている。長谷川健太監督は「前の3枚は何かあった時に代えが利かない。そこに入ってくる選手はチームとして準備していかなければいけない」と言っており、ターレスの名前がそこに連なってくればこれほど喜ばしいこともないだろう。「とにかく広島戦でもっと良いプレーができるように頑張ります」。名古屋の背番号21の爆発に、期待したい。

Reported by 今井雄一朗