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【取材ノート:藤枝】「超攻撃的エンターテイメントサッカー」を文字通り体現する須藤MYFC。5月は“藤枝劇場”へ急げ

2023年4月27日(木)
J2に昇格したのが初めてのクラブが、リーグの4分の1を消化した時点で6位。しかも、得点数は堂々の1位で、エースの渡邉りょうが9得点を挙げて得点ランクの単独トップを快走中。アシスト数のランキングでは、岩渕良太、横山暁之、榎本啓吾、久保藤次郎の4人が3アシストで2位タイに並んでいる。

開幕前にチームが今季の目標を「6位以内(プレーオフ圏内)」と掲げたとき、誰がこの状況を予想できただろうか。強化予算の多寡でいえば、降格候補に挙がって当然だからだ。筆者も昨年と同様にチームが成長を続ければ6位以内に入る力はあると思っていたが、この時期に6位にいて得点数で首位に立っているとは想像できなかった。

とくに3連勝した直近3試合では、10得点/4失点と攻撃力を爆発させ、千葉、水戸、仙台という歴史あるチームを立て続けに破っている。

千葉戦は、藤枝総合運動公園サッカー場で初めて開催された19時キックオフのナイトゲームで、須藤大輔監督が「幻想的な空間」と表現したように、周囲に灯りがない中で照らし出されたピッチが、まるでスポットライトを当てられた劇場空間のように見えた。その美しい舞台で選手たちは素晴らしい動きと集中力を見せ、前半は元日本代表も複数人いる千葉を圧倒。3-1でオリジナル10のクラブから初勝利を挙げた。


続く水戸戦では、連戦の疲労で内容はもうひとつながら今季最多の4得点を挙げて快勝。ホームに戻ってきた前節は、一昨年までJ1にいた仙台との初対戦を迎えた。




「地力のある良いチームとボールゲームができた」(須藤監督)というように、仙台を圧倒するまでには至らなかったが互角の戦いを繰り広げ、前半終了間際に渡邉が相手の一瞬の隙を突いて先制点をゲット。まさにエースらしい仕事ぶりだった。

後半は3人替えした仙台に押し込まれて一度は逆転を許したが、86分に久保、90+3に矢村健が見事なシュートを決めて再逆転。劇的なエンディングでホームスタジアムを歓喜の渦に包み込んだ。

須藤監督は一昨年7月の就任時から「超攻撃的エンターテイメントサッカーを見せたい」と言い続けてきた。その姿勢はJ2に上がっても一切変わることはなく、試合を重ねながら成長と自信を積み上げて、直近では宣言通りの観て楽しいサッカーを見せつけながら3連勝。とくにホームで見事なまでの劇場性を表現できていることが素晴らしい。

5月のホームゲームは、ゴールデンウィーク中の3日(憲法記念日)に現時点で2位の大分を迎え、17日(水)には磐田とのリーグ戦初対決が待っている。J2に上がって初の静岡ダービーだ。そこから中3日の21日(日)には、ボール支配率で上位を争う徳島との初対戦と注目カードが目白押しだ。

幸いというか、残念というべきか、ホームゲームのシートにはまだ空きがある。アクセスや駐車場という面では少し手間はかかるが、藤枝MYFCに興味を持ち始めた人たちに言うべきことは、シンプルだ。

「今こそ“藤枝劇場”に急げ」。その一言に尽きる。

Reported by 前島芳雄