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【取材ノート:千葉】新天地へ旅立つ新明龍太と矢口駿太郎を契機に『育成のジェフ』について思うこと

2026年1月29日(木)
2026年1月27日、同年1月6日にジェフユナイテッド千葉から2025年シーズン限りで契約満了となったと発表された新明龍太の移籍先が決まったというリリースが出された。また、同じくアカデミー出身の選手としては、同年1月7日、2025年シーズン限りでの契約満了がクラブから発表された矢口駿太郎の移籍先が1月16日に決まったというリリースが出されている。


新明の印象深いプレーというと、やはり2023年シーズンの明治安田J2リーグ第23節での決勝ゴールになる。23分に得たPKを見木友哉が蹴ったものの、ヴァンフォーレ甲府のGK河田晃兵のビッグセーブに阻まれ、28分に甲府に先制点を奪われるという苦しい展開の一戦だった。しかし、失点の3分後に小森飛絢が同点ゴールを奪い、試合は後半へ。その後半は、数字としての結果は苦しかったものの内容では千葉が上回っていた前半とは違い、システムを変更した甲府にペースを握られ、決定機を複数作られて苦戦した。その試合展開の中で、69分、呉屋大翔とともに交代出場した新明は90+1分、見木からのパスを受けると甲府の選手3人をかわしてシュート。プロ1年目の新明のプロ初ゴールがチームを2-1の逆転勝利に導く決勝点となった。

試合後の記者会見で、千葉の小林慶行監督は記者から「新明のプロ初ゴールはチームにとって意義のあるゴールだったと思うが」と問われ、こう答えている。
「本当に、おっしゃられたとおり、もしくはそれ以上に意義があると僕自身は感じています。アカデミー出身の選手が1年目で、ホームゲームで得点をするということはクラブにとってすごく大きなことだと思います。彼は間違いなくアカデミーの目標になっていますから、もっともっと憧れの存在として輝いてほしいと思います」

そして、矢口についてはとにかくガムシャラで負けん気の強いプレー、特に守備で相手に何とか食らいついていこうとするプレーが印象的だった。2022年シーズンのJ2リーグ開幕後に選手登録され、プロ1年目となった2023年シーズンでは、ちばぎんカップに続いて開幕戦から2試合連続でスタメン出場している。

その2023年シーズンの第2節では、当時、モンテディオ山形に在籍していたイサカ ゼインとマッチアップし、試合後にはこんな話をしていた。

「攻守の切り替えが速い中、ああいった選手と対戦できるのは、本当に自分も今日は楽しかったですし、いい経験になったのかなと思います。でも、ずっとアシストだったり、得点だったりという結果を出したいと思っているので、そういった結果が今日出なかったのはとても悔しいですし、もっといいプレーができたと思うので改善していきたいです」

この試合では前でパスカットをするなど、守備面での貢献が見られた。「試合を重ねるごとに自分のいいところが出るようになったか」と筆者がたずねると、1-3での敗戦という試合結果を踏まえてこんなふうに答えた。

「初めてスタメンだった時と比べてリラックスしてできるようになりました。でも、どんなにいいプレーを自分がしても、やっぱりチームが勝てなかったら意味がないと思います。自分がいいプレーをしてチームが勝てるようにしていきたいです」

新明と矢口はトップ昇格後、3シーズンで契約満了となった。かつては、山口智、酒井友之、山本英臣、村井慎二、阿部勇樹、佐藤勇人、岡本昌弘、山岸智、工藤浩平、竹田忠嗣、井出遥也、佐藤祥といった、トップ昇格後に長く千葉で、もしくはJ1やJ2の舞台で長くプレーするアカデミー出身選手を輩出し、『育成のジェフ』と呼ばれた千葉。しかし、近年ではトップに昇格させたアカデミー出身選手が、トップチームになかなか長く在籍できず、さらにJ3から下のカテゴリーに在籍するようになっている。

もちろん、そのシーズンごとに補強、新加入させるべきポジションがあるだろうし、全体的な選手構成のバランスもあるだろう。難しいところがあるのは承知だが、やはり長くトップチームで活躍するアカデミー出身選手の姿が見たいものだ。高校生2年生ながら2025年シーズンにプロ契約し、明治安田J1昇格プレーオフ準決勝で値千金の同点ゴールを奪い、鮮烈なプロデビューとなった姫野誠には、大きな期待がかかる。そして、新明と矢口をはじめ、今シーズン、千葉以外のクラブでプレーすることになった選手たちの今後の活躍にも期待したい。

Reported by 赤沼圭子