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【取材ノート:福岡】J1の舞台で輝くために山脇樺織が胸に抱く強い反骨心

2026年4月28日(火)


「悔しい、それだけです」

0-2で敗れた明治安田J1百年構想リーグ地域リーグラウンド第12節・岡山戦。試合後のミックスゾーンに足取り重く現れた山脇樺織は、第一声で率直な思いを吐露した。


中2日でのアウェイ3連戦の3試合目。過密日程の中で、3月21日の第8節・ガンバ大阪戦以来となる先発のチャンスが巡ってきた。「他の人にとっては日々の1試合だったかもしれないですけど、僕の中では大きな1試合だった」。ここで絶対にチャンスを掴む。並々ならぬ覚悟でピッチに立った。

だが、「もっと僕自身がボールをもらえる機会、もっと高い位置でチャレンジしていくシーンを増やせたら良かったんですけど、その部分を自分で引き出せなかった」と振り返るように立ち上がり、攻勢を仕掛ける福岡の攻撃の中心は左サイド。何度もスプリントを繰り返して右サイドを上下動し、ゴール前に様々な球種のクロスを供給してチャンスを創出するのが最大の特徴である右WBの山脇にボールが渡ることは少なく、徐々に守勢に。強度、スピード、質、あらゆる面で相手に上回られ、試合の勝敗を大きく左右する先制点の献上に絡んでしまう。

27分、右サイドでスローインのボールを受けてキープする岡山の強力FWウェリック ポポに対し、岡哲平と2人掛かりで対応したが、上手く突破され、アシストを許した。

「シンプルにテツ(岡)がチャレンジしているところを、僕がカバーに行ければ良かったんですけど、挟みにいっちゃったところは、完全に僕の個人戦術の部分でもありますし、そういう1回の隙、リスタートの始まったところでも切り替えが相手より遅かったですし、そこで一瞬の隙を突かれてしまうのがJ1」

前半のみで無念の途中交代。もっとこうすれば良かった。自らが大切にするがむしゃらに走り、チャレンジする姿勢が影を潜め、山脇の心には、悔しさばかりが募った。

2023年にJ3の北九州でプロデビュー。毎年出場試合数を着実に伸ばし、昨シーズンは36試合で3ゴール、6アシストとキャリアハイの成績を残して、今シーズンJ1の福岡へステップアップを果たした25歳の実力者も壁にぶつかっている。

今の最大の課題は、J1ならではのプレー強度の高さとプレースピードの速さに適応すること。これまでJ1でキャリアを積んできた同じポジションのライバルたちを日々近くで観察し、時には一つひとつのプレーを相談しながら「ここは(J1で)できて当たり前という基準」を学んでいる。

その中で、山脇は壁を乗り越えるために自身のストロングを伸ばすことと同時に技術、判断、フィジカル、全ての基準を上げることが必要だと考えている。

「とにかく、もっと思いっ切りチャレンジングな気持ちを持って、周りに合わせるだけではなく、自分のストロングというのを前面に出せるようにしていきたいと思います。

個人で剥がすところだったり、あとは1対1の対人で負けない、まず守備で相手に絶対にやらせないというところは、僕の出せるであろうストロングだと思うので、もっとそこの部分も、もっと突き詰めて出せていけたらと思います。

もうひとつ自分の中で基準というものを上げる、そして作るというところを、もう一度自問自答して、その基準をもっともっと上げていかないと、ピッチに出た時に自分という価値を証明できないので、そこを本当に日々、福岡に帰ってからというか、もう今からなんですけど、積み重ねていくしかないと思います」

岡山戦での山脇の姿を見て、ある選手のことを想起した。それは、昨シーズンまで北九州で共にプレーし、J3で実績を残して福岡に移籍してきた辻岡佑真のことである。今ではCBの定位置を掴みつつある彼だが、最初から順風満帆だったわけではない。初先発となった第5節の名古屋戦でJ1の厳しさを知り、悔しさを味わって、それを糧に瞬く間に成長した。だからこそ、辻岡と同様に大きなポテンシャルを持っている山脇にも、今ぶつかっている壁を乗り越え、同じ道を歩んでほしいという期待は自然と高まる。

「そこを自分自身も乗り越えないといけないと思うので、本当に次は与えられた状況で、もっともっといけるように頑張りたいと思います」

7連戦の真っ只中にある福岡。厳しい日程を総力戦で乗り越えなければいけない中で、再び山脇にもチャンスが巡ってくるはずだ。

「ここで落ち込んで、そのまま沈んでいったら本当に普通以下の選手で終わっちゃうので、ここでもう一度立ち直って、自分自身でまたチャンスが来るように準備していないといけない。本当に日々の練習にしかチャンスは落ちていないと思います。本当にこんな悔しい思いはしたくない」

岡山の地で味わった悔しさを糧に背番号33は、ここから這い上がっていく。

Reported by 武丸善章
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