
決勝点までのプロセスで、二度しびれた。一度目は右サイドで相手と入れ替わり、グッと前に出た瞬間。二度目は折り返したボールが、1分前の逸機とほとんど同じコースだったことだ。
FC今治が特別大会で初めての連勝を果たした。明治安田J2・J3百年構想リーグも佳境の第16節、アウェイのFC大阪戦。1-1で迎えた86分、途中出場の林誠道が右サイドを抜け出して折り返す。抜け出す前から、すでにトップスピード。相手DFを振り切った。
そのパスを決め切った近藤高虎も途中出場。自陣深い右サイドからのスローインをヘディングで林につないだ森晃太も途中出場。近藤の今大会初ゴールは、総力戦であることを象徴していた。
「自分が入ったとき、何とか状況を打開しないことには、勝つには厳しい感覚がありました。距離感が良くないとも感じていたんですけど、晃太とは近くでプレーできたので。(森が)うまくボールをそらしてくれたことと、相手が前掛かり、かつ前に出てくるタイプのセンターバックだったので、うまく入れ替われました。あとはボールをつつけば、絶対に剝がせると思っていました」
実に冷静な判断を連続させながら、ゴールへの道を切り開いていった。折り返したボールは直前に、こちらも途中出場の持井響太のクロスから近藤が決め切れなかったシーンと、ほとんど同じコースをたどった。
「抜け出てゴールと相手GKのポジションを見て、一瞬、自分でシュートを打とうと思ったんですけど、フリーの虎(近藤)が見えたので。より確実な方にパスを出しました。前回より、いいボールを上げられました。われながら、絶妙なボールだったと思います(笑)」
林が自賛する「前回」とは、ホームで高知ユナイテッドSCを1-0で下した前節、エジガル ジュニオがヘディングで決めた決勝ゴールをアシストしたクロスのことだ。
「今、チームは確実に上のレベルに行こうとしています。ここでもう一つ、二つギアを上げられれば。今治の目標は次のシーズンのJ1昇格。塚田(雄二)監督も常々言っているし、それを意識しながらみんなやれています。自分自身、途中出場が続いている中でゴールを決めたい気持ちも強いですけど、勝ちにつながる仕事は少なからずできているのかな、と思うので。続けつつ、自分のゴールを取っていければ」
今大会、ジェフユナイテッド市原・千葉から期限付き移籍で加入し、先月30歳の誕生日を迎えた。先発、途中出場と、状況に応じてここまで全16試合に出場して1ゴール。チーム最多タイの3アシストをマークしている円熟のFWは、技術と判断力、豊富な経験に裏打ちされたプレーで、確実にチームを加速させる。
Reported by 大中祐二