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【取材ノート:神戸】「強く、要求しないと」(鍬先)。「もっと、自分がやらないと」(佐々木)。中堅の意識変化が京都戦の「3」を導く

2026年5月14日(木)
AFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)ファイナルズの後、ヴィッセル神戸は厄介なトンネルに迷い込んだ。明治安田J1百年構想リーグ 地域リーグラウンド 第13節でセレッソ大阪にPK負けを喫すると、続く第14節のガンバ大阪戦では0-5の大敗という屈辱を味わう。翌15節はサンフレッチェ広島にPK勝ちを収めたものの、第16節では一度も敗れたことがないファジアーノ岡山にホームで0-3と完敗してしまう。
もちろん、ACLEで燃え尽きたわけではないし、選手たちの集中が切れたわけでもない。それは、ピッチでハードワークを続ける選手たちの姿を見れば容易に理解できるだろう。だが、内容が良くて敗れたC大阪戦もあれば、相手にペースを握られながらも勝利した広島戦もあった。ACLE後の神戸は、何が正解かわからない悶々とした日々を過ごしてきた。


その流れの中で、5月13日の第12節・京都サンガF.C.戦を迎えた。ACLEとの兼ね合いで先延ばしになっていた京都戦は、前節の岡山戦から中2日の過密日程。0-3の敗戦からメンタルを切り替えること、そして「コンパクトさを保つこと」(ミヒャエル スキッベ監督)を意識して試合に入った。
神戸はキャプテン山川哲史が前節のアクシデントの影響で欠場する中、ンドカ ボニフェイス、マテウス トゥーレル、カエターノを最終ラインに並べる[3-4-2-1]布陣を敷いた。前線は1トップに大迫勇也を置き、その脇を武藤嘉紀と佐々木大樹が固める。この3枚が激しくプレッシングをかけ、中盤の井手口陽介、日髙光揮、あるいはウイングバックのジエゴと酒井高徳がボールを奪ってカウンターに転じる。仮にボールをロストしても、すぐに奪い返す。「コンパクトさ」を保つことで、神戸らしい強気のスタイルが戻っていた。
試合は満田誠のクロスをンドカが頭で決めて先制点を挙げ、これが決勝ゴールとなって神戸が1-0で勝利を収める。ACLEファイナルズ後としては初の勝点3を手にし、WEST首位の名古屋グランパスに勝点31で並んだ。この「3」には監督の采配やベテランの頑張りなどさまざまな要因がある。その中で注目したいのは中堅選手の意識変化だ。

前節の岡山戦後、ボランチで先発出場した鍬先祐弥はこんな話をしている。
「(3失点に関して)選手のスライドが遅く、うまくいかない部分もあった。それを中盤の自分たちがうまくコントロールできなかった。もっと周りの選手に要求しないといけない。強く、もっと強く…」
京都戦に鍬先は出場しなかったが、おそらく神戸の中堅選手たちには同じような想いがあったと思われる。京都戦での佐々木を見れば容易に想像がつく。
この試合、佐々木は前線のターゲットマンとして身体を張り、何度倒されても走り続けた。いつもの献身的なプレーに加え、佐々木は周りの選手たちに“要求”もした。たとえば、自身が競り合いに勝った後にジエゴが裏に走っていなかったシーン。佐々木は地団駄を踏みながら、ジエゴに走るようにジェスチャーした。また、ヘディングで中央にボールを流した際には、ゴール前に誰も詰めていなかったことに対して怒りを露わにした。昨シーズンまでの大迫勇也や武藤嘉紀に見られたようなジェスチャーだった。

京都戦の後、佐々木はベテランの支えをどう感じているかと問われ、次のように答えている。
「本当に大きな支えですし、そういう選手が味方にいるのは心強い。ただ、それだけではダメだと感じている。個人的には“もっと、自分がやらないと”という気持ちの方が強い」

もちろん、佐々木は以前から「自分がやらないと」という気持ちでプレーしている。だが、チームの窮地を救うためには「もっと」やらないといけなかった。それが、周りへの「要求」だったのかもしれない。

Reported by 白井邦彦