
アベル モウレロ新監督のもと、初めての北海道・室蘭キャンプでチーム作りが進んでいる。「ファン、サポーターがこれから目にするのは“モウレロのスタイル”ではなく、すでに伝統のある今治のスタイルの発展形」が持論のスペイン人監督が、どのようなサッカーを具現化していくのか。非常に楽しみだ。
その中で重要な役割を果たすことが期待されるのが、FCソウルから完全移籍で加入したセルビア人MFのアレクサンデル パロチェヴィッチである。
180cmと長身で左利きのプレーメーカーは、FCソウルの前は、浦項スティーラースでもプレーし、2020年にはKリーグ1のベストイレブンにも選ばれている。昨年は中国2部の南通支雲足球倶楽部に期限付き移籍しており、東アジアのリーグでのプレー経験を、よりスムーズにFC今治への適応に生かしたい。
8月に33歳となるパロチェヴィッチの心を日本の今治へと動かしたのは、クラブのビジョン、野心である。
「オファーがあったのは2カ月前で、自分に対しての思いが本当に強いと感じました。ベストを尽くし、目標を達成できるようにがんばりたい。
オファーされたとき、『今治はこれからどんどん伸びていくチームで、あなたの経験、力を貸してほしい』と言ってもらえたことが、とてもうれしい。本当にすばらしいスタジアムがあって、あのスタジアムとともにJ1昇格を果たしたい」
ホームのアシックス里山スタジアムは、昇格を見据えてゴール裏のスタンドを増設。5316人から8848人へ収容人数が増えて、2026/27シーズンを迎える。詰めかけるファン、サポーターを、どのようなプレーで魅了するのか。
ハーフシーズンの明治安田J2・J3百年構想リーグを、最終的に30チーム中35位で終えたチームは、ロングボール主体のサッカーが思うように機能せず、苦しんだ。中盤を省略する傾向は、特別大会前に名古屋グランパスに移籍したブラジル人FWマルクス ヴィニシウスを生かす戦いの名残りでもあり、ハーフシーズン中に監督交代を挟みながら、そこから脱却ができなかった面もある。既存の選手からは、「もっと勇気を持ってボールを受けなければいけない」という反省の声も聞かれる。パロチェヴィッチのボールを集配する能力は、果たしてどれだけのポジティブな化学変化を起こしてくれるか。
サポーターと身近に交流したキックオフカンファレンスのゲームコーナーでは、柏木リー通訳やウェズレイ タンキをさっそくいじるなど、チーム合流直後ながら茶目っ気も見せた。そんな遊び心も、プレーメークの大切なエッセンスとなるかもしれない。
Reported by 大中祐二