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【取材ノート:琉球】迷いを削ぎ落とした茂木駿佑が描く両足の軌道

2026年7月23日(木)


ジリジリと肌を焼く太陽が、沖縄のピッチに降り注いでいる。2026/27シーズンのJ3リーグ開幕に向けた静かな熱気の中で茂木駿佑は黙々と、しかし確かな足取りで準備を続けていた。

「完全に休むのが苦手なタイプなので、オフも普通に走ったり、自分のペースで筋トレをしていました」と、飾らない言葉で自身の規律を語る。酷暑を乗り切るための工夫にも余念がない。「この暑さを乗り切るために買いました」と語るのは、自宅用に購入したバスタブ。凍らせたペットボトルを敷き詰め、下半身だけを冷やしたり温めたりする交代浴で日々コンディションを整えている。

その準備の積み重ねが自身の代名詞である「両足のキック」を支えている。右も左も関係なく、鋭い弧を描くクロスとシュート。それは技術を超えた彼そのものであり、今もその輝きに陰りはない。「足のパンチ力は錆びていないですし、むしろよりパワーアップしている」という力強い言葉には、開幕を待つ高揚感が静かに宿っていた。



百年構想リーグにおいて、彼の数字はもどかしさが残るものだった。12試合に出場し先発は4試合。その足跡には得点もアシストも刻まれず、本意ではない結果に終わった。
ウイングバックという役割の中で、チームのポゼッションスタイルへの適応を急ぐあまり、「ミスはしていないけれど、そんな安全なプレーばかりが続くと、じゃあ何のためにそこで俺を使ってんのかってなっちゃいますし」と、持ち味を消してしまった時期もあったと振り返る。

しかし、停滞を打破したのは百年構想リーグ最終戦となったプレーオフ・福島戦での原点回帰だった。
左ウイングバックとして、ピッチを広く使い相手の守備を外に引き出すだけでなく、「自分がちょっと内側に行ったら外のスペースは頼む」と、周囲の選手や状況に応じてポジションを使い分け、柔軟に連動するイメージを持ち続けてプレー。本来の思い切りの良さを取り戻した。
そして、周囲に合わせるのではなく、自分を起点に周囲を動かすという気持ちの転換点が停滞していた空気を一変させ、阿吽の呼吸がチーム全体の流動性を引き出す手応えを得た。

苦しんだ半年間も、ベンチから俯瞰する視点は鋭さを増し、選手が入れ替わるたびに変化するピッチの熱量をいかにして「目線合わせ」で共有するか。中堅としての役割を自覚する彼は、言葉とプレーの両面でチームの歯車を噛み合わせようとしている。

昨年、Jリーグ通算250試合という大きな節目を超え、愛媛時代の2023年にはJ3優勝とベストイレブンも経験している。
確かなキャリアを築き、年齢的には中堅と呼ばれる域に入った。だが、ピッチの上で「落ち着く」つもりなど、彼には微塵もない。

「推進力を消したら、自分ではなくなる。年齢とともにプレーをまとめるのではなく、誰よりも前へ仕掛ける姿勢を貫きたいです」



気づいたことは言葉で伝え、背中で示す。しかし、一番雄弁なのはその両足である。
経験を糧にしながらも、誰よりも前へ、誰よりも攻撃的に仕掛けていく。研ぎ澄まされたキックの先に、茂木駿佑は最大の強みを示すことを誓う。

Reported by 仲本兼進