Jリーグの大きな転換点となる2026/27シーズンの開幕まであと2週間。藤枝MYFCは、槙野智章監督以下コーチングスタッフは変わっていないが、選手は3分の1を入れ替えた新体制で精力的に準備を進めている。
そんな中で今回は、新戦力ではなく藤枝から旅立っていった選手たちについて総括してみたい。
当然、戦力的にも痛手となるが、彼ら5人にはひとつ共通点がある。それは、藤枝で大きく成長した選手ということだ。
矢村健は、新潟での4年間でなかなかチャンスをつかめなかった中、2023年から藤枝に期限付き移籍し、実戦経験を積みながら成長を重ねた。そして2024年も自ら志願してレンタルを延長し、リーグ戦全試合に出場して16得点。得点ランク4位に入り、月間ベストゴールを2回、J2リーグ最優秀ゴール賞(年間)も受賞。“ゴラッソメーカー”としての本領も示した。その開花が認められて2025年には新潟に復帰し、J1でも半年で4得点を挙げて、8月に完全移籍で藤枝に戻ってきた。百年構想リーグでは力を出し切れなかったが、確かな実力を認められて7月20日にJ1の千葉への完全移籍が発表された。
浅倉廉は、2024年に拓殖大を卒業して加入し、2年目の2025年に37試合出場/9得点とブレイク。2025年の夏からいつ引き抜かれてもおかしくないと案じられていた中で、今回J1昇格の有力候補である仙台に完全移籍した。
岡澤昂星は、C大阪に在籍しながら2023年の途中からJ3の琉球に期限付き移籍し、2025年には武者修行先を藤枝に移して、14節からボランチの軸に定着して攻守両面で大きく成長。今年は矢村と同様に自ら希望してレンタルを延長し、百年構想リーグではJ2のデュエル勝利総数1位になるなど、苦手分野でも絶大な進化を見せた。当然その成長ぶりをC大阪が放っておくはずもなく、今季は復帰してJ1での勝負に挑むことになった。
永野修都は、今年1月のU23アジアカップで主力として優勝に大きく貢献し、藤枝に期限付き移籍。すぐにDFラインの主軸となって失点減少の立役者となり、試合ごとに意欲的なチャレンジを重ねながらJ2を超えるレベルにあることを証明していった。当然彼もFC東京に復帰していったが、槙野監督は「日本にいる時間も長くないと思う」と潜在能力を高く評価している。
北村海チディは、2023年に桐蔭横浜大を卒業して加入。178cmとGKとしては小柄だが、抜群の身体能力を生かして1年目から26試合に出場し、2024年、2025年も守護神として君臨。セーブでもビルドアップでも着実に進化を重ね、百年構想リーグはケガに泣いたが、6月に徳島への完全移籍が発表された。
今季に向けては、C大阪から岡澤に代わって金本毅騎が、FC東京から永野に代わって北原槙が貸し出され、新たに柏から角田惠風が、長崎から青木俊輔が期限付きで加入。J1の4クラブが有望な若手を託していることは「選手を成長させてくれるクラブ」として評価が高いことの証明と言える。
百年構想リーグで大活躍した今年の大卒ルーキー4人組(真鍋隼虎、中村優斗、三木仁太、近藤優成)もいずれは引き抜かれる可能性があるが、今季は槙野監督の下でさらなる成長に挑む。そうした若手や移籍組がどれだけ躍進するかという視点は、藤枝を応援するうえで大きな楽しみとなる。
ここまで挙げた5人の他に藤枝を離れた7人は、金子翔太(松本)と松下佳貴(栃木SC)が完全移籍、久保征一郎(水戸)がレンタルからの復帰、川上エドオジョン智慧(秋田)、世瀬啓人(栃木SC)、閑田隼人(岐阜)、山﨑絢心(タンピネス・ローバーズFC/シンガポール)が期限付き移籍。槙野監督は、百年構想リーグの最後に選手との個人面談に向けて次のように語っていた。
「まずはプレイヤーズファーストですが、この時期は難しいですね。クラブのことを思って残さなければいけない選手と、クラブのことを思って外に出さなければいけない選手もいますから。そのあたりは監督としてメッセージを伝えなきゃいけないことと、Jリーガーの先輩として伝えなきゃいけないことと、2つの側面で選手たちと話したいと思っています」(槙野監督)
そうした話し合いを経て大きな決断をした選手が12人。上記の7人も、この半年なかなか出番を増やせない中でも、走力やインテンシティの向上なども含め着実に力をつけてきた。新天地でそれが大いに生かされることを楽しみにしたい。
藤枝から巣立っていく選手が多いことは、個人的に“推し”ているサポーターにとっては残念なことだろうが、彼ら自身にとってもチームにとっても前向きな移籍が多いことは、心に留めておいてほしい。
Reported by 前島芳雄
そんな中で今回は、新戦力ではなく藤枝から旅立っていった選手たちについて総括してみたい。
残念でもあり、喜ばしくもあり
今夏に藤枝を離れた選手は、完全移籍5人、期限付き移籍からの復帰3人、期限付き移籍4人の計12人。中でも矢村健、浅倉廉、岡澤昂星、永野修都、北村海チディとセンターラインの実力者5人が抜けたのは、藤枝サポーターにとってショッキングなニュースだった。当然、戦力的にも痛手となるが、彼ら5人にはひとつ共通点がある。それは、藤枝で大きく成長した選手ということだ。
矢村健は、新潟での4年間でなかなかチャンスをつかめなかった中、2023年から藤枝に期限付き移籍し、実戦経験を積みながら成長を重ねた。そして2024年も自ら志願してレンタルを延長し、リーグ戦全試合に出場して16得点。得点ランク4位に入り、月間ベストゴールを2回、J2リーグ最優秀ゴール賞(年間)も受賞。“ゴラッソメーカー”としての本領も示した。その開花が認められて2025年には新潟に復帰し、J1でも半年で4得点を挙げて、8月に完全移籍で藤枝に戻ってきた。百年構想リーグでは力を出し切れなかったが、確かな実力を認められて7月20日にJ1の千葉への完全移籍が発表された。
浅倉廉は、2024年に拓殖大を卒業して加入し、2年目の2025年に37試合出場/9得点とブレイク。2025年の夏からいつ引き抜かれてもおかしくないと案じられていた中で、今回J1昇格の有力候補である仙台に完全移籍した。
岡澤昂星は、C大阪に在籍しながら2023年の途中からJ3の琉球に期限付き移籍し、2025年には武者修行先を藤枝に移して、14節からボランチの軸に定着して攻守両面で大きく成長。今年は矢村と同様に自ら希望してレンタルを延長し、百年構想リーグではJ2のデュエル勝利総数1位になるなど、苦手分野でも絶大な進化を見せた。当然その成長ぶりをC大阪が放っておくはずもなく、今季は復帰してJ1での勝負に挑むことになった。
永野修都は、今年1月のU23アジアカップで主力として優勝に大きく貢献し、藤枝に期限付き移籍。すぐにDFラインの主軸となって失点減少の立役者となり、試合ごとに意欲的なチャレンジを重ねながらJ2を超えるレベルにあることを証明していった。当然彼もFC東京に復帰していったが、槙野監督は「日本にいる時間も長くないと思う」と潜在能力を高く評価している。
北村海チディは、2023年に桐蔭横浜大を卒業して加入。178cmとGKとしては小柄だが、抜群の身体能力を生かして1年目から26試合に出場し、2024年、2025年も守護神として君臨。セーブでもビルドアップでも着実に進化を重ね、百年構想リーグはケガに泣いたが、6月に徳島への完全移籍が発表された。
実績を築いてきたからこそ武者修行先に
こうして簡単に振り返っただけでも、彼らはみなステップアップの移籍であることがわかる。藤枝はこれまでも朴一圭、久保藤次郎、渡邉りょうらをはじめ上の舞台に羽ばたいていった選手が多く、クラブの経営規模を考えても、まずは育成型クラブとして発展していくことが重要な戦略となっている。今季に向けては、C大阪から岡澤に代わって金本毅騎が、FC東京から永野に代わって北原槙が貸し出され、新たに柏から角田惠風が、長崎から青木俊輔が期限付きで加入。J1の4クラブが有望な若手を託していることは「選手を成長させてくれるクラブ」として評価が高いことの証明と言える。
百年構想リーグで大活躍した今年の大卒ルーキー4人組(真鍋隼虎、中村優斗、三木仁太、近藤優成)もいずれは引き抜かれる可能性があるが、今季は槙野監督の下でさらなる成長に挑む。そうした若手や移籍組がどれだけ躍進するかという視点は、藤枝を応援するうえで大きな楽しみとなる。
ここまで挙げた5人の他に藤枝を離れた7人は、金子翔太(松本)と松下佳貴(栃木SC)が完全移籍、久保征一郎(水戸)がレンタルからの復帰、川上エドオジョン智慧(秋田)、世瀬啓人(栃木SC)、閑田隼人(岐阜)、山﨑絢心(タンピネス・ローバーズFC/シンガポール)が期限付き移籍。槙野監督は、百年構想リーグの最後に選手との個人面談に向けて次のように語っていた。
「まずはプレイヤーズファーストですが、この時期は難しいですね。クラブのことを思って残さなければいけない選手と、クラブのことを思って外に出さなければいけない選手もいますから。そのあたりは監督としてメッセージを伝えなきゃいけないことと、Jリーガーの先輩として伝えなきゃいけないことと、2つの側面で選手たちと話したいと思っています」(槙野監督)
そうした話し合いを経て大きな決断をした選手が12人。上記の7人も、この半年なかなか出番を増やせない中でも、走力やインテンシティの向上なども含め着実に力をつけてきた。新天地でそれが大いに生かされることを楽しみにしたい。
藤枝から巣立っていく選手が多いことは、個人的に“推し”ているサポーターにとっては残念なことだろうが、彼ら自身にとってもチームにとっても前向きな移籍が多いことは、心に留めておいてほしい。
Reported by 前島芳雄