
アベル モウレロ監督のもと、リーグ戦初勝利をついにつかんだ明治安田J2リーグ第6節のサガン鳥栖戦(〇1-0)は、今季3試合目の出場で、2試合連続の先発で3バックの右に入った。連敗を4で止めた前節の大分トリニータ戦(△1-1)で、チームは4バックから守備時に5バックになる3バックに変更。パスをつなぎ、攻めるサッカーを標榜するスペイン人監督の、勝つために失点を減らす執念のさい配の中で、出場するチャンスをつかんだ。
「まだ先発2試合目ということで、使ってもらう以上、結果で示さないとダメだと思っていたので、勝って終われたのは良かったです。大分戦の後半は押し込まれて、最後に失点して勝ち切れませんでした。今回、しっかりビルドアップしてくる鳥栖が相手で、自分たちがどういう止め方をするのか。自分たちが5バックになって、どう守るかをみんなで話し合いながら1週間、準備してきて、そこがうまくハマったと感じます」
鳥栖にボールを保持され、我慢の時間が長く続く展開だった。押し込まれて、どんどんクロスが入ってくる。今季これまで耐え切れずに失点することがたびたびあったが、この夜は違った。
「自分たちがはね返すのもそうですが、まずはクロスを簡単に上げさせないところで、ウイングバックがしっかり寄せる部分も良かったです。チームでうまく対応しながら守れました」
左隣、3バックのセンターには今季新加入のベテラン櫛引一紀が入り、細かいラインコントロールを含めて守備の安定感を引き出していた。
「特にラインを上げるところで、一紀くんの声がけで全体が引き締まりました。自分もやらなければならないのですが、どうしてもまだ集中しきれないところがあるので。
ラインをしっかり上げないと、後ろが5枚になっている分、つぶしに行けなくなります。ラインを上げてコンパクトにして、ボランチに後ろ向きの守備をさせるのではなく、5バックがつぶしに行く。たとえば相手のシャドーの選手に対して僕が出ていくためにも、ラインを上げないといけません。中盤と遠くならないように、コンパクトにやっていくことが本当に大切なんです」
試合は特に前半、思うようにチャンスを作れず、それだけに自分たちから崩れないことが勝利への分岐点となった。
「自分たちは前半、ほとんどシュートを打っていなかったと思います(今治の2本に対し、鳥栖は9本)。相手にはどんどん打たれて、それでも無失点で折り返せたのはポジティブでした。それにシュートは打たれましたが、今治がボールを握る時間もあったので、ハーフタイムに監督から『何のためにボールをつないでいるんだ?』という話があったんです。やっぱり、ゴールを目指さないといけない、と。
前半は前から誰かが落ちてきてボールを動かそうとしていましたが、監督の言葉もあって、後半はみんなの意識が前に向きました。(梅木)怜が何度も前に走って、得点シーンでは逆サイドに(森)晃太くんがファーにしっかり詰めていて。そういう場面を試合の初めからどんどん出していくことで、得点の確率も上がっていくと思います」
89分の決勝点は、自身の縦パスから生まれた。右サイド奥のスペースに浮き球を供給し、そこに走り込んだ梅木の折り返しから、森がズバリと決めてみせた。
「試合の途中に、怜に『けっこうスペースがあるから、背後に蹴ってほしい』と言われたんです。僕自身、ああいうボールを蹴る練習をしていたのもあって、感覚で出したボールです。それがうまく背後に落ちて、怜が抜け出してくれて。怜のスピードと、自分のボールと、個人戦術がかみ合って良かったです」
開幕から連敗が続く苦しい状況に初めて歯止めをかけたのが、天皇杯2回戦のブラウブリッツ秋田戦だ。4-1で今季初勝利を収めた秋田戦でチームはまだ4バックだったが、本職のセンターバックではなく、「ほとんどやったことがない」という右サイドバックで先発。より攻撃的なポジションを取るサイドバックでの経験が、3バックに変更後の鳥栖戦にも生かされた。
「3バックといっても、攻めるためにはどこかで高いポジションを取らなければなりません。天皇杯でサイドバックをやって付いた自信もあります。前に行っても選択肢を持ってプレーできたのは、経験として培った部分もあるかな、と思います」
チームは、開幕から続いた苦しい流れをついに断ち切った。ここから上昇気流に乗っていくために、右サイドの後方から、力強くチームを支えていく。
Reported by 大中祐二