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【取材ノート:福岡】全てはチームの為に。ストライカー・ルキアンの光る献身性

2023年3月28日(火)


JリーグYBCルヴァンカップグループステージ第2節の柏レイソル戦。アビスパ福岡の反撃の口火を切ったのはルキアンだった。0-2の29分、絶妙な裏への抜け出しとトラップの上手さで山岸祐也のゴールを呼び込むと、追加点を許し、再び2点ビハインドの状況で迎えた79分にはペナルティエリア外でボールを受けて、一気に加速。迷うことなく、思い切り右足を振り抜いた。


「スペースをうまく使えました。そこからうまくボールを蹴って抜け出して、力強く蹴った結果、相手のディフェンスに当たりましたかね。それでもゴールになったので良かったです」


明治安田生命J1リーグ第3節と同じ相手に同じ場所で再びゴールを決め、1点差に迫ると、90分には湯澤聖人の執念のゴールで劇的なドロー。福岡は、今シーズンホームでの公式戦無敗記録を「5」に伸ばした。

この試合でも2得点に絡む活躍を見せ、今シーズンここまでチームのエース山岸祐也と共に福岡の攻撃を牽引しているルキアン。彼の最大の特長は裏への抜け出しだ。スピードとフィジカルの強さで相手を振り切り、ゴールに襲い掛かる。プレーはいつだって最大出力。攻撃はもちろん、それは守備でもだ。彼の考えの根底にあるのはチームが勝つこと。そのためなら自分がゴールを奪うことはもちろん、味方のために起点を作ることだって、自陣深くまで戻って味方の守備を助けることだって何でもする。

「これが自分のスタイルですので」と飄々と語る男も昨シーズンは苦しんだ。J2得点王の実績を掲げて福岡に加入。しかし、リーグ戦はわずかに3得点。数字だけを見れば外国籍の助っ人ストライカーとしては物足りないだろう。それでも福岡に関わる多くの人たちは決して批判しなかった。それは彼の姿勢を見ていれば分かる。ピッチに立つ11人のうちの一人として自分は何をすべきなのか常に考え、ポジションに囚われることなく、精一杯チームに貢献する。90分間絶え間なく、それを毎試合、例えチームが苦しい状況に陥っても心折れることなく、フルパワーで戦い続けてくれているからこそ見ている人の心を離さない。

迎えた今シーズン、ストライカーを象徴する「9」に背番号を変更したルキアン。「普段から共にトレーニングにしているチームメイトたちが普段の自分を見てくれていると思っています。それを表現する。試合の中でも同じように表現している」と本人が口にするように、彼の特長はより活きるようになっている。「スピードもそうですし、回数もそうですし、FWは得点を取ることが仕事、もしくはそれが一番評価に値するなどと言いますけれども、それだけではなくて、いつも献身的に攻守にわたってチームを引っ張ってくれているので頼っています」と長谷部茂利監督も全幅の信頼を置く。

「多くのサポーターの方が来てくれれば我々に力を与えてくれる。それもアビスパスタイルの一部だと思います」

紺色に染まったブラジル人ストライカーの更なる活躍に期待したい。


Reported by 武丸善章