
5月31日に行われる明治安田J2・J3百年構想リーグのプレーオフラウンド第1戦。FC今治とのアウェイ戦を前にFW庵原篤人は静かに、しかし力強く言葉を絞り出した。
「アクションの回数を増やしたい。無駄走りというものはなく、全部の走りに意味があると思ってプレーします」。
先週23日のWEST-Bの地域リーグラウンド最終節、サガン鳥栖戦。0-2と劣勢に立たされながら終盤に2点を返し、PK戦で劇的な勝利を掴んだ琉球は、グループ9位でこのラウンドを終えた。しかし、勝利の興奮よりも悔しさが色濃く残っている庵原は「自分が出ている時は、あまりうまくいかなかった」と、後半途中にベンチへ退いた自分のプレーが頭から離れない。攻守の切り替えが激しい展開の中、前線から自陣まで何度も走り戻され、「取れなくて戻されるのをずっとやっている感じで、結構しんどくなっちゃいました」と、最前線でボールを追い続ける消耗を身をもって痛感した試合だった。
全力で走り続けるスプリントが庵原の最大の持ち味。だが、その愚直なまでのプレースタイルは「守備で足を使って、攻撃でパワーが出せないのはフォワードとしてもったいない。全部全力でやっちゃうんで」と、逆に自身の足かせになる側面もある。攻撃の勝負どころを見極め、90分を通して最大のパフォーマンスを発揮するためのコントロール術。この個人の課題は以前から自覚していたが、鳥栖戦がその重要性を改めて突きつけた。
放ったシュートはゼロで、68分間でピッチを離れることになった庵原は、その後味方がパスをつないで相手を崩していく姿をベンチから見守り、「(鮮やかな連係に)見ていて面白かった」とストライカーとしてのワクワク感をこぼした。その輪の中でプレーできなかった悔しさもあったが、同時に新たな気づきも生まれたという。試合映像を見返して気づいたのは、ボールを持たない時間の動きの重要性。「自分が動くことでできるスペースもある」と、自らの走りが味方に時間と空間を生み出すという当たり前のようで見落としていたものを改めて確かめた。
FC今治とは2年前の試合で苦い記憶がある。アシックス里山スタジアムで行われたその試合、琉球は岡澤昂星(現・藤枝MYFC)のゴールで前半先制し、フルタイム出場の庵原もチェイシングと惜しいシュートで存在感を示した。しかし試合終了間際の80分に同点弾、さらにその1分後に逆転弾を浴び、反撃も及ばず逆転負け。今治のJ2昇格を後押しする試合となった。相手スタジアムで湧き上がる歓喜を目の当たりにした記憶は、今も鮮明に残っている。

「嫌なイメージしかないんで、それを変えたい。やり返したいです」。
鳥栖戦での反省、そして今治への雪辱。二つの思いを重ねて、庵原はプレーオフのピッチへ向かう。攻守に走る自分らしさはそのままに、味方のためのオフ・ザ・ボールの動きを示す姿を見せてほしい。
Reported by 仲本兼進