
2026/27明治安田J1リーグ第2節・セレッソ大阪戦。1-0の43分、辻岡佑真が自身J1初ゴールとなる貴重な追加点を挙げ、福岡の今シーズン初勝利に大きく貢献した。
「目の前に(ボールが)こぼれてきたので、とりあえず(利き足とは)逆の足だったので、上手く枠に入れようという気持ちで入れました」
左利きの辻岡が右足で放ったミドルシュート。DFながらFWを彷彿とさせる得点感覚と技術を持つ彼らしいゴールで福岡のホーム、ベスト電器スタジアムに集った11,659人の観客を熱狂の渦に巻き込んだ。
「開幕戦は本当に不甲斐ない試合で負けてしまいましたけど、このホーム連戦で勝利、しかも大勝で終えることができて本当に良かったです」
終わってみれば3-0の完勝劇。「我々が左(サイド)で今起こせているようなことが相手の右(サイド)で起きてくると思うので、そこら辺の対応は大事」と試合前、塚原真也監督がポイントに挙げていた中で、前半から相手のストロングである右サイドを制圧し、自分たちのストロングである左サイドで押し込む狙い通りの展開を作り出す。その中心には「周りのCBとの違いを見せると言ったら攻撃の部分」と自負する背番号15がいた。
「分析でも(相手は)右(サイド)を多く使う。僕らの左(サイド)のような感じで右(サイド)に人を多く集めて攻撃してくるというのは分析通りだったので、それでも重見(柾斗)選手だったり、藤本一輝選手だったり、友くん(見木友哉)のところでしっかりコミュニケーションをとって、しっかりと自分から発信して声を出そうと思っているので、そこは良い感じにやれていたと思います」
ポジションは、3-4-2-1の左CB。空中戦に強く、スピードもある身体能力に優れたDFは、C大阪戦で2得点に絡む活躍を見せた左WBの藤本と「本当に守備のところでのコミュニケーションが増えましたし、お互いに要求というのは増えてきたので、そこで良い関係ができている」と前節からの修正を図ってピッチに立つと、自身の最大の特徴である「攻撃力」を遺憾なく発揮。保持の局面では、可変で高い位置を取って位置的優位を作り、左足からの鋭い縦パスや精度の高いフィードを見せ、チャンスと見るや、この日得点につながったミドルのように積極的にシュートも放つ。テンポよくボールを動かしながらゴールに迫る“左肩上がり”の攻撃は今や、チームの大きなストロングとなっている。
攻守にチームを支える24歳もいわきから完全移籍で加入した百年構想リーグの序盤は、初体験となるJ1の強度やスピード感にアジャストするのに苦しんだ。そんな中で「落ち着いてプレーできるようになった」のは精神的な変化が大きかったと言う。
「本当にメンタルの部分で大きく変わったなと思っていて、ビビらないメンタルだったり、ひとつのミスに引きずられないことだったり、そういうのは本当に今年(百年構想リーグ)になって大きく身についたなと思っています。
いろいろな先輩方に話してもらって、奈良(竜樹)君とか田代(雅也)君だったり、秋野(央樹)君もそうですけど、いろんな先輩方がコミュニケーションを取ってくれたので、そういったコミュニケーション+練習での姿勢だったり、ミスした後に切り替える速度だったりというのは、本当に先輩方はすごいんで、そこは本当に多くのことを学んだなとは思っていますね」
自信を掴むきっかけになったのは、第8節のガンバ大阪戦。2つのゴールでチームをPK戦での勝利に導き、「得点という目に見える形で結果を出すことができた」ことで攻撃面の数字に対する意欲はさらに増加。「周りの選手がいろいろコミュニケーションを取ってくれたり、意思疎通してくれてうまく自分を使ってくれるので、そこは本当に自分が想定していた以上の攻撃参加ができた」と振り返るように自らの強みを活かして、瞬く間に定位置の座を掴んだ。「本当に大きく自分のものになった」特別大会は、16試合に出場。DFながら3月度の明治安田J1百年構想リーグ WEST月間ベストゴールを受賞し、6月に行われたJリーグオールスターDAZNカップにも選出された。
レギュラーの座を目指してスタートした百年構想リーグとは違い、実績を残し、レギュラーの座が確立される中で迎えた今シーズン。半年前とは、立場に変化があっても慢心は一切ない。
「別に(レギュラーが)確立されたとは全く思っていなくて、同じポジションの宮(大樹)くんだったり、タシくん(田代)だったり、本当に練習から良いパフォーマンスをしてくれるので、自分も本当に気を緩めることなく練習に臨めていますし、宮くんもアドバイスをくれたり、練習の中でも声を掛けてくれるので、本当に高め合っているなという感じですね」
3バックの先発の陣容は、これまで福岡のDFラインを支えてきた奈良や田代、宮のベテランから辻岡や三國ケネディエブス、岡哲平の中堅へと顔ぶれが変わってきている。
「試合前に、いつもだったら副キャプテンの椎橋(慧也)くんが声を出してくれるのですが、今日(C大阪戦)は椎橋くんがスタメンじゃないというところで、試合前にしっかりとケネくん(三國)もそうですし、テツ(岡)も『中堅の代が、俺らがしっかりと後ろから声を出して引っ張っていこう』と話していたので、そこはみんな意識してやれていたと思うのと、あと永石(拓海)選手が本当に90分間通してずっと気持ちを緩めることなく、3点取った後も『本当にうるせぇな』と思うぐらい(笑)声を出してくれるので、その中で自分も高められているなと思います」
チームの最後方でDFラインを支えるのは、2023年、クラブ初タイトルとなるJリーグYBCルヴァンカップ優勝に大きく貢献し、半年ぶりに福岡へ戻ってきた経験豊富なGKの永石。前節の神戸戦、ロングスローの際にエースストライカーの大迫勇也にマークを外され、失点に絡んだ辻岡は、試合後「そういう時こそ本当に集中しないといけないよ」と声を掛けられ、塚本秀樹GKコーチからは「マンマークの部分に関しては、『闘いだ』というのは(神戸戦の)振り返りであった」と言い、「そこは本当に自分のプレー1つでチームの勝敗を分けてしまうのがJ1のレベルだと思ったので、そこは良い糧にして落ち込まずにやっていけたら」と前を向く。
上手くいかなかったことを糧にめきめきと力をつけて成長していく姿は、辻岡と同じくJ3から這い上がり、2025シーズン、福岡の左CBを務めて、瞬く間に日本代表、ブンデスリーガでプレーするまでにステップアップした安藤智哉を想起させる。
攻守に多くのタスクを担う現代のCBにおいて「DFながら点を取れるというのは、大きな価値」と捉え、「(C大阪戦は)セットプレーでも何回かチャンスがあったので、そこはもっともっと決められるシーンを増やしていけたらと思います。(味方を)追い越していく部分だったり、そこは監督から求められているので、そこはもっともっと90分間、それをやり続けられる走力もつけないといけない」と自身の課題を口にする辻岡。
「まだこの2節で全然満足できるプレーはできていないですし、もっともっとできるので、『自分にフォーカスする』というところを考えながらやっていきたいと思っています」
これからも飽くなき向上心を持ちながら、より高みを目指してサッカーと向き合っていく。
Reported by 武丸善章