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【取材ノート:琉球】「つなぎ役」高柳郁弥がもたらす縦のスイッチ。琉球に注ぐ変化

2026年8月20日(木)


今季、サポーターから大きな期待を背負ってFC琉球へ完全移籍で加入したMF高柳郁弥。RB大宮アルディージャの育成組織から東洋大学を経て、プロ選手として古巣・大宮に帰還した彼はその後、期限付き移籍で加入した鳥取や北九州で研鑽を積み、明治安田J2・J3リーグでこれまでJリーグ通算106試合に出場している。

これまで「期限付き」という形でピッチに立ち続けてきたが今夏、大宮からの完全移籍を決断。「期限付きであっても全力で戦うことに変わりはないが、やっぱり完全移籍となると感覚が違う。今まで以上に『琉球のため、この街のために戦う』という強い意識がある」と、高柳の言葉にはピッチ中央でプレーを支えるゲームメーカーとしての実直な姿勢が表れていた。
 


彼の強みは、豊富な運動量でピッチを広くカバーし、味方同士をつなぐリンクマンとしてのプレースタイルと、幼少期からこだわり抜いて磨き上げてきた「止めて、蹴る」という基礎技術の高さにある。ショートパスをテンポ良くつなぎながら相手を崩していく琉球のスタイルにおいて、この確かな技術は重要なピースとなるはずだ。高柳自身も、「つながりながら縦のスイッチを入れる。ピッチ上で少し『変化』を加えられるようなプレーをしたい」と、自らの役割を冷静に見つめている。
 
琉球は台風の影響で開幕戦のギラヴァンツ北九州戦が中止となったため、今月15日に行われたレノファ山口FC戦が今季リーグ戦の初陣となった。試合は、相手の戦術的な出方に対して組織的な対応に時間を要し、前半20分に先制点を許す展開。その後、ピッチ内で仲間と対話を重ね、修正の糸口を探り続けた中、チームとして連動したパスワークがピッチ上で形になったのは、後半開始早々の47分。中盤の密集地帯でパスを引き出した高柳は、相手守備が一瞬だけ見せた隙を見逃さずに縦パスを供給。選手たちが連動し、ワンタッチでテンポよくパスがつながると、加藤悠馬のドリブル突破からシュートシーンを生み出した。「距離感を保ちながら、目線が合う選手が多い。やっていて楽しい」と高柳が語る琉球のパスワークは、今後のリーグ戦における攻撃のバリエーションとして確かな手応えを感じさせた。試合は0-1に終わり黒星でのスタートとなったが、ピッチ上には次戦につながる確かな希望が灯っていた。
 


次なる戦いはアウェイで行われるFC大阪戦。球際の強さとハードワークを持ち味とするその相手は現在リーグ戦1勝1分の5位。また、直近の天皇杯1回戦では同じJ3に所属の奈良クラブを相手に4-1で勝利し勢いに乗っている。高柳は「その相手に対して、いかに自分たちのスタイルをビビらずに貫けるかの勝負になると思う」と、静かに気迫をにじませる。中盤の緊迫した競り合いのなか、彼の持つ冷静な戦術眼と予測が、チームに落ち着きをもたらす鍵となるだろう。
 
また今回、FC大阪のホームゲームでありながらスタジアム確保が困難となったことに伴い、異例の代替開催地としてミクニワールドスタジアム北九州で行われる。奇しくもその舞台は、昨年まで高柳が期限付き移籍で所属し、汗を流した思い出の詰まった場所。さらにこの試合で琉球が勝利を収めれば、クラブにとって記念すべき「J3リーグ通算100勝」達成という大きな意味を持つ一戦となる。

豊富な運動量と丁寧なパスワークを武器とする琉球の新しいゲームメーカーは、「声で引っ張るタイプではないけれど、ピッチ上で頑張る姿勢をプレーで見せていきたい」と語り、かつてのホームで初勝利を挙げるべく闘争心を燃やす。

Reported by 仲本兼進
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