川崎フロンターレからのニューカマーが、移籍後初スタメンの期待に応えてみせた。天皇杯 JFA 第106回全日本サッカー選手権大会 2回戦・東京ヴェルディ対ザスパ群馬戦、前半24分。東京Vは相手GKのロングボールをマイボールにすると、右サイドから白井亮丞の折り返しに中央で神田奏真が右足を合わせ、先制のゴールネットを揺らした。「亮丞がボールを持った時に目が合ったので、マイナスで待っていれば来るかなと思っていました。手前で相手に当たったので、とりあえず当てようと思って当てたらいいところに飛んでいきました」と、東京Vでの初ゴールを振り返った神田。城福浩監督も「あのシーンは、ロッカールームの中で確認したクロスのパターンでした。それをすぐ瞬時に彼(神田)が表現できるというところは、やはり得点感覚があるなと思いました」とたたえた。
だが、神田自身に満足感はほとんどなかった。試合後のコメントでは「(得点シーン以外で)決定機を2本、バーに当たったのと、ヘディングで外してしまっている。それを決めておけば、もっとチームの流れ的にも楽な展開だったなと感じます」「もう少し強度を持って長い時間プレーできないといけないなと感じました」など、初スタメン、初ゴールの喜びよりも反省の言葉の方が多く聞かれた。
一番の理由は、自身の置かれている立ち位置だろう。天皇杯こそスタメンだったが、2026/27明治安田J1リーグではここまでの3節で出場は第2節柏レイソル戦の後半17分間のみにとどまっている(第1節はレンタル元の川崎Fのため契約上出場不可)。出場機会を増やした中での成長を期しての移籍決断(期限付き移籍)だっただけに、「試合に出られていない現状も含め、ここまでは全部に対して納得はいっていません」と悔しさをあらわにする。
現状打開のための課題は「守備」だと20歳FW。城福監督も「守備での貢献という部分は今努力している最中」だと話しており、連日「エクストラ」と称される試合メンバー以外の選手たち中心の追加練習でみっちりと鍛えられている。
「監督やコーチの言っていることは理解できているのですが、強度を含め、これまでやってきたものとは違う守備をやらなければいけないので、今はまだ難しさを感じています」
なんといってもカルチャーショックは「強度」の部分だろう。城福監督は、就任時から常々「頭からいく」「靴一足分の寄せ」などの表現を使い、球際の厳しさを求め続けてきた。それは、得点が最大のタスクとされるFWであろうが決して免除されることはない。その部分での「自分で感じる強度」と「外から見て感じる強度」との差を埋めるべく鍛錬を神田も続けている。
その一方で、やはりFWとして求められているものが「得点」であり、そこへ最大限の力を発揮しなければならないとの考えは決してブレることはない。
「1番の目的が守備になってしまって、攻撃のことを考えられずとなってしまうのは違うと思う。やはり、前線の選手はゴールから考えるべきなのかなとは思っています」
今は途中からの出場が多いが、「いくら途中からでも、スタメンで出るのと変わらず、FWである以上、やるべきことは『点を取ること』なので、そこだけはブラさずにやっていきたいと思います」との揺らがぬ芯をもつ。
城福監督も「もっともっと得点に対する意欲を高めてもらって、彼の特長である得点力をさらに伸ばしていってほしいなと思います」と、大きな期待を寄せている。
その中で、左シャドウで先発出場した天皇杯で見せた1トップの白井、右シャドウ仲山獅恩との流動的な前線3枚の好連携に加え、神田自身は染野唯月との共存によって、チームとしての得点力アップの可能性を強く感じているという。
「自分の中ではソメくんにボールが入った時がチャンスだなと感じています。現状、チームとしてはロングボールが結構多い。その中で、前節のファジアーノ岡山戦で言うと、ソメくんのところに対して相手のセンターバック2枚が対応している状況を、いかにソメくんのところを1対1にもっていくか。ソメくんは1対1であれば絶対に収めてくれるので、そのための周りのポジショニングや、誰をフリーにさせるとか自分がフリーになるとか、そこがチームとしても僕自身としても鍵になるのかなと感じています。僕としては、ボールを持ってない時間がほとんどなので、その時間にいかに何ができるかが大事かなと思います」
その他にも、ベンチやスタンドから見て感じたことは、「20歳だから」とか「まだ移籍してきて2カ月弱と短いから」といった無用な遠慮はいっさいなく、「はっきりと伝えています」ときっぱり。
それも当然だ。自身のサッカー人生をかけて東京Vでの武者修行を決断しているのである。
「自分は攻撃の選手なので、数字として残さないとチームからも評価してもらえないですし、自分の価値を高める上でも、数字が残っていないと(夢である日本代表や海外クラブからも)見てもらえないと思う。なので、まず数字を残してなんぼだと思っています」
東京Vとしても、ここまでの3試合で挙げたのはリーグワースト3位タイの2ゴールと得点力不足は顕著だ。その解消のためにも、背番号「38」の躍進が大きな鍵を握っていることは間違いない。
Reported by 上岡真里江
だが、神田自身に満足感はほとんどなかった。試合後のコメントでは「(得点シーン以外で)決定機を2本、バーに当たったのと、ヘディングで外してしまっている。それを決めておけば、もっとチームの流れ的にも楽な展開だったなと感じます」「もう少し強度を持って長い時間プレーできないといけないなと感じました」など、初スタメン、初ゴールの喜びよりも反省の言葉の方が多く聞かれた。
一番の理由は、自身の置かれている立ち位置だろう。天皇杯こそスタメンだったが、2026/27明治安田J1リーグではここまでの3節で出場は第2節柏レイソル戦の後半17分間のみにとどまっている(第1節はレンタル元の川崎Fのため契約上出場不可)。出場機会を増やした中での成長を期しての移籍決断(期限付き移籍)だっただけに、「試合に出られていない現状も含め、ここまでは全部に対して納得はいっていません」と悔しさをあらわにする。
現状打開のための課題は「守備」だと20歳FW。城福監督も「守備での貢献という部分は今努力している最中」だと話しており、連日「エクストラ」と称される試合メンバー以外の選手たち中心の追加練習でみっちりと鍛えられている。
「監督やコーチの言っていることは理解できているのですが、強度を含め、これまでやってきたものとは違う守備をやらなければいけないので、今はまだ難しさを感じています」
なんといってもカルチャーショックは「強度」の部分だろう。城福監督は、就任時から常々「頭からいく」「靴一足分の寄せ」などの表現を使い、球際の厳しさを求め続けてきた。それは、得点が最大のタスクとされるFWであろうが決して免除されることはない。その部分での「自分で感じる強度」と「外から見て感じる強度」との差を埋めるべく鍛錬を神田も続けている。
その一方で、やはりFWとして求められているものが「得点」であり、そこへ最大限の力を発揮しなければならないとの考えは決してブレることはない。
「1番の目的が守備になってしまって、攻撃のことを考えられずとなってしまうのは違うと思う。やはり、前線の選手はゴールから考えるべきなのかなとは思っています」
今は途中からの出場が多いが、「いくら途中からでも、スタメンで出るのと変わらず、FWである以上、やるべきことは『点を取ること』なので、そこだけはブラさずにやっていきたいと思います」との揺らがぬ芯をもつ。
城福監督も「もっともっと得点に対する意欲を高めてもらって、彼の特長である得点力をさらに伸ばしていってほしいなと思います」と、大きな期待を寄せている。
その中で、左シャドウで先発出場した天皇杯で見せた1トップの白井、右シャドウ仲山獅恩との流動的な前線3枚の好連携に加え、神田自身は染野唯月との共存によって、チームとしての得点力アップの可能性を強く感じているという。
「自分の中ではソメくんにボールが入った時がチャンスだなと感じています。現状、チームとしてはロングボールが結構多い。その中で、前節のファジアーノ岡山戦で言うと、ソメくんのところに対して相手のセンターバック2枚が対応している状況を、いかにソメくんのところを1対1にもっていくか。ソメくんは1対1であれば絶対に収めてくれるので、そのための周りのポジショニングや、誰をフリーにさせるとか自分がフリーになるとか、そこがチームとしても僕自身としても鍵になるのかなと感じています。僕としては、ボールを持ってない時間がほとんどなので、その時間にいかに何ができるかが大事かなと思います」
その他にも、ベンチやスタンドから見て感じたことは、「20歳だから」とか「まだ移籍してきて2カ月弱と短いから」といった無用な遠慮はいっさいなく、「はっきりと伝えています」ときっぱり。
それも当然だ。自身のサッカー人生をかけて東京Vでの武者修行を決断しているのである。
「自分は攻撃の選手なので、数字として残さないとチームからも評価してもらえないですし、自分の価値を高める上でも、数字が残っていないと(夢である日本代表や海外クラブからも)見てもらえないと思う。なので、まず数字を残してなんぼだと思っています」
東京Vとしても、ここまでの3試合で挙げたのはリーグワースト3位タイの2ゴールと得点力不足は顕著だ。その解消のためにも、背番号「38」の躍進が大きな鍵を握っていることは間違いない。
Reported by 上岡真里江