Js LINK - Japan Sports LINK

Js LINKニュース

【取材ノート:千葉】米倉恒貴と鈴木椋大が天皇杯でのプレーで見せた勝利への想い

2026年9月2日(水)
8月26日に開催された天皇杯 JFA 第106回全日本サッカー選手権大会2回戦。今大会初戦のジェフユナイテッド千葉は、J3からJFLに降格した静岡県代表チームのアスルクラロ沼津と対戦した。

前半の立ち上がりから圧倒的に攻める千葉だが、決定的なシュートが沼津のGK大久保択生の好セーブに阻まれたり、ゴールマウスを外れたりしてしまう。
さらにゴール前へ攻めこんでもクロスをはじめラストパスの精度を欠き、なかなかゴールが生まれなかった。
その一方で、沼津の反撃をしのぎ、試合は両チーム無得点のまま延長戦へ突入。
その延長戦で沼津が117分、FKからの流れでウエンデルが先制点を奪う。
敗戦濃厚と追い込まれた千葉だが、120+1分、品田愛斗のロングスローをホシャがヘディングし、混戦の中でこぼれ球を拾った河野貴志が土壇場で同点ゴールをゲット。
その後のPK戦は、千葉の2人目のキッカーの松村拓実、沼津の4人目のキッカーの向井ひな太がPKを外したことでキッカー5人ずつでは決着せず。結局、沼津の9人目のキッカーの大久保のPKを千葉のGK鈴木椋大が止め、スコアは1-1、PK8-7で、千葉が3回戦進出を決めた。

この天皇杯では、公式戦でなかなかスタメン出場の機会がない2人のベテランが奮闘を見せた。
その1人が、近年の公式戦では攻撃的なポジションでの起用が多かったものの、右サイドバックでスタメン出場した米倉恒貴だ。
何度も上下動を繰り返すハードワークを見せ、クロスや前方へのパスでフィニッシュの場面に絡んだ。

筆者は終電の時間の関係で、天皇杯2回戦の試合後の取材エリアでの取材ができなかったため、2026/27明治安田J1リーグ第4節の試合後、米倉に話を聞いた。

「何年ぶりかのスタメンだったし、しかも今、チームの流れが悪い中だったので、どうにかその流れを断ち切りたいという気持ちで臨みました。プレーで活力を与えられたらというか、やっぱりそういうプレーって大事だし、そういう想いでやっていました。もちろん年齢的なところで走力とかなかなか厳しいところもあるかもしれないですけど、その中でじゃあ、どれだけできるかというところを体現すれば、やっぱりいい影響はあると思うし、そういった意味でちょっとでもチームのプラスになれるようにというのは、いつも意識してやっています。天皇杯はチームにとってすごく大事な勝利だったと思います」

だが、連敗という悪い流れを一度は断ち切れたものの、千葉はJ1リーグ第4節では田中和樹のゴールで2度、川崎フロンターレに追いつきながら、前半終了間際の連続失点で2-4の敗戦。J1リーグでは開幕戦から4連敗となった。

「今日も同じような失点の仕方というか、やるべきことをやっていて相手にやられているわけではないので。もう本当に反省しなきゃいけない。そんなことをずっと言っていたら、あっという間にシーズンが終わってしまうので。もう本当に1試合、1試合に魂を込めて、決勝戦だと思ってやらないと、このままズルズルいってしまう。せっかく上がったJ1という舞台をなあなあなままで終わらせたくないので、何とか立て直せるようにやりたいなと思います。今は守備の局面で緩さが出てしまっているという感じなので、そういうところはやっぱり練習で何か足りないのかもしれない。もっともっと練習から厳しさを出していかないといけないと思うので、そういったところで練習をいい雰囲気でできるように個人としてはやっていきたいなと思います。ただ、今日は和樹が点を取ってくれたので、周りも影響されていい効果になってくれればいいですね。得点できたことをポジティブに捉えてやっていけたらいいと思います」

鈴木椋大もまた、なかなかスタメンのチャンスに恵まれない中、接触プレーで顔を少し負傷しながらピンチの場面で体を張ったセーブを見せ、PK戦ではPKストップを披露した。鈴木椋大にも米倉と同様にJ1リーグ第4節の試合後に取材させてもらった。

「天皇杯はそんなに攻められてもいないですし、どっちかというとうちが90分で(勝って)試合を終わらせないといけない内容だったのが、あそこまで引っ張っちゃったなという印象です。それから、失点したけども、そのあとに崩れずに自分たちが点を取り返せたということが1つ、いい材料かなと思います。でも、やっぱりうちはあれだけチャンスがあって、相手にはほとんど攻められていなかったので、90分で仕留めなきゃいけないなというのが率直な思いです」

ほとんど攻められなかったとはいえ、鈴木椋大は前半と後半に沼津の決定的なシュートをファインセーブしてチームを救っていた。

「そういってもらえると嬉しいですし、数少ない相手のチャンス、こっちのピンチでしっかりと集中力を切らさずに防ぐことが大事な大会でもあると思うので、そういった意味ではそれを表現できたということは自信につながるかなと思います」

この試合では千葉U−18に在籍している齋藤隼士が左サイドバックでスタメン出場していた。
トップの公式戦初出場の齋藤へのコーチングでのフォローも重要だったのではないだろうか。

「隼士も慣れていない中でちゃんとやっていましたし、ヨネ(米倉)くんもいたし、トリ(鳥海晃司)とボニ(久保庭良太)も経験があるので、そこはたぶんみんなもそんなに『隼士がいるから』ということは気にせず、試合に入れたのは1つ良かったことかなと思います。僕だけじゃなくて、たぶんみんながそんなに意識せずやれたので、そこは本当に隼士の技量というか、そういったところもあると思います。だから、そこは特に考えずに試合に入った感じです」

PK戦では、鈴木椋大が沼津のキッカーの2人目と5人目のPKの時、相手のPKのコースを読み、ボールに手が触っていたもののセーブできなかった。

「感覚的にはコースを読めていたので、そんなに悪くなかったかなっていうのはありました。(沼津のキッカーが)5人のうちに仕留めきれれば一番良かったと思いますけど、まあ、何はともあれ(PK戦で)勝つことが大事だったので、勝ちきることができたということは良かったなと思います。
最後の大久保さんのPKは、大久保さんがもう両足を攣っていたし、PK戦もあれくらいになると踏み込み足の位置の芝生が荒れてくるので。丁寧に蹴ってくるだろうなというので(蹴るコースが)あっちかなというのは考えながらやった結果が、そこ(PKストップ)につながったかなと思います」

千葉は百年構想地域リーグと第31回ちばぎんカップでのPK戦は全敗だった。J1リーグ第4節では千葉に2026/27明治安田J1リーグでの初ゴールが生まれ、小林慶行監督は「半歩前進」と評していたが、PK戦勝利もまた前進と言える。

J1リーグ開幕戦から4連敗で、天皇杯を含めて公式戦5試合連続失点中と、守備の『際の勝負』で後手を踏み、攻撃もなかなかゴールに結びつけられず、苦戦が続く千葉。だが、やるべきことをしっかりとやり続け、努力と献身を怠らずに互いをサポートしながら、地道にレベルアップに挑むことで、J1リーグ戦初勝利をあげられるはずだ。

Reported by 赤沼圭子