
9月2日に行われたルヴァンカップ1回戦。FC琉球は2-3で横浜FCに惜敗した。
この試合で先発を務めたのが、大卒ルーキーの22歳GK宮本流維。チームの生命線であるハイラインを最後尾から支える役割を彼は90分間背負い続けた。
「3失点というところは守備の人間として、攻撃陣やチームに対して申し訳ないという部分があります」
彼が守ろうとしたチームの戦術において、GKの役割は極めて大きい。
琉球が志向する「主導権を握る守備」では、ディフェンスラインを高く設定し、前線からプレスをかけることが基本方針。その裏返しとして生じるのが、DFラインの背後のスペースというリスクだ。
ゴールマウスを託された宮本は、背後へのロングボールを予測して前へ飛び出すカバーリングをこなし、最後尾からチームのハイライン維持を支えた。

平川忠亮監督は試合後、そのパフォーマンスをこう評価している。
「今日の宮本は背後のケアを非常に的確に、冷静に行ってくれた。彼が背後のスペースをカバーしてくれるからこそ、ディフェンスラインを過度に下げずに、前からプレスをかけ続けるアプローチを徹底できた」
宮本自身もこの役割には明確な意図を持って臨んでいる。
「背後のカバーリングに関しては試合中にすごく強く意識して、しっかりできていた印象があります。そこは大きな収穫でした」
シュートストップの面でも宮本は力を発揮。アダイウトンの至近距離からの一撃や、ジョアン パウロが放った鋭い一本に対しても体を張ってセーブする姿を見せた。
「難しい状況でも自分の特長が出せたというのは日々の練習から積み上げられているものだと思うので、そこは自信になった部分もあります」
平川監督も「守備の流れを整えてくれた」と言及した通り、宮本はチームを守り抜く砦となっていた。

しかし、そうした好プレーがありながらも結果として3失点を喫した事実に対し、宮本自身は厳しい評価を下している。
良かった部分がある一方で、立ち上がりや試合の終わらせ方といった細部の隙がそのまま失点に直結してしまった。
前線で体を張り続けたヴァヴァ ゲレイロや、不慣れなウイングバックの位置からゴールを決めた曽田一騎、豪快な直接FKで同点弾を叩き出した茂木駿佑など、ターンオーバーで起用された選手たちの好パフォーマンスを、宮本は勝利という結果に還元できなかった点に悔しさを噛みしめる。
また、チームのスタイルであるポゼッションサッカーにおけるビルドアップへの関与についても宮本はさらなる向上を誓う。
「足元の部分は、結構(船橋)勇真君に頼ってしまった部分が大きかったなと思います。周りに助けてもらいながらやるのがチームですけど、そういった部分でも自分がチームを助けられるように日頃から積み重ねていきたいです」
味方との連携を生かしながらも、キックやビルドアップの精度を高め、最後尾から自ら起点となることを今後の目標に据えている。

平川監督も「ピッチ内の状況変化に応じた判断の細部についてはさらに思い切り良く、大胆さを追求していってほしい」と、この22歳の守護神への期待と課題を語った。
そうした指揮官の期待に応え、さらなる成長を遂げるための土台が、日々のGKグループでの競争と、受け継がれてきたプロとしての姿勢だ。
今季リーグ戦全試合に出場している佐藤久弥をはじめ、イ チュンウォンや宮﨑浩太朗といった、互いにリスペクトし合える仲間たちとの切磋琢磨がそのまま成長の力になっている。
もう一つ欠かせないのが、ピッチ外での振る舞いだ。リーグ戦で控えに回る中でも声を出し続け、チームを支える姿勢には、百年構想リーグまで共に汗を流した先輩GKの川島康暉(現・大分)や梅田陸空(現・FC大阪)から受けた教えが根付いている。
「ベンチで自分がどういう姿を見せているかで『いざ自分がピッチに立った時に味方が助けてくれるぞ』と、先輩たちから教えてもらいました。それは自分の中に深く根付いていますし、これからも継続していきたいです」
3失点の悔しさ、シュートストップや背後への対応で得た自信、そしてビルドアップでのさらなる向上への意欲。そのすべてを糧に、若き門番はこれからも成長を重ねていく。
Reported by 仲本兼進
