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【取材ノート:福岡】感覚派FW師岡柊生の勝利とゴールへの強いこだわり

2026年9月8日(火)


2026/27明治安田Jリーグ第6節の水戸戦は、終盤に追いつかれ、ドロー。リーグ戦の連敗は3で止めたものの、4試合ぶりの勝利を逃した。勝点2を落とした印象の強いゲームで貴重な先制ゴールを挙げた師岡柊生も試合後のミックスゾーンで悔しさを露わにした。 「点を取れたのは良かったですけど、チームを勝たせてあげることができないのは悔しいです」


53分、中央での崩し。左ポケットを取った深澤大輝からの折り返しに反応したのは、背番号13だった。「ああいうふうな形のゴールが自分のゴール」。泥臭く体を投げ出してクロスに飛び込み、右足でゴールに押し込む。2試合連続となる魂のゴールは、2024シーズンと百年構想リーグに並ぶキャリアハイの3得点目となった。

ゴールシーン以外でも魅せる。この日のスタートポジションは、これまで多く務めた右シャドーではなく、左シャドー。積極的な攻撃参加を見せる相手右SBの背後のスペースを常に狙っていた。

「結構、右SBが上がってくるので、そこは、結構空くのかなというのと、自分も裏抜けだったり、そういうのが特徴だったりするので、そこはチャンスになるのかなというので、多分、左(シャドーでの起用)になったと思います」

20分、辻岡佑真からの裏へのボールに反応。スピードある走りで相手を振り切り、GKと1対1になりかけるシーンを作るなど相手の背後のスペースを突くだけでなく、ライン間でも効果的にボールを受け、チームのビルドアップをサポート。フィジカルの強さや身体の使い方の上手さ、ボールを扱う技術の高さを見せ、積極的にゴールを狙い続けた。ピッチ上で輝きを放つ師岡に対する塚原真也監督の評価も高い。

「ひとつは本能ですかね。点を取りたいという気持ち、表情、立ち振る舞い、全面から出ていると思いますし、点を取るところだけじゃなくて、落ちてきても胸でのコントロールだったり、ボールの収まりも非常にいいですし、頂点でもシャドー右左どこでもやれますし、技術的にも高いです。非常に攻守において、今のアビスパのキーパーソンだなと思います」

塚原監督が口にした「本能」というワードは、師岡も自らのプレースタイルを表現する際に用いる言葉だ。

「本当に感覚だけでサッカーをやっているタイプ」と話す彼はワンタッチで相手と入れ替わったり、背負った選手を一瞬で交わしたりするプレーが多い。

「すぐそこに(相手が)いれば分かるじゃないですか。でも少し遠いところにいた時に、ボールが来る前、ボールが来たと思った時に『ここで受けたらどうせ寄せてくるしな』『結局、潰されるな』と思っているだけで、目で観て判断しているわけじゃないんです。ボールを受ける前の周りの状況から『この距離だったら絶対来るだろうな』と。それで交わしたりしていますね」

まさに感覚。感覚的にプレーする上で次のようなことを意識していると言う。

「1人剥がして何かをする、交わしてからのシュートだったり、パスをする、ドリブルをするというのが、元々の自分が持ってる長所だったり感覚なので、そこはこのチームでも活かしていこうかなというのは考えています。特に相手を抜くということでは、ずる賢いじゃないですけど、相手が考えていないことをするというのを意識していますね」

そんな“感覚派”の師岡の原点には、サッカーが好きという強い想いがある。

「今のプロサッカー選手って、結構、試合を見るのも好きという人が多いじゃないですか。自分は見るは見るんですけど『別に』という感じで。とにかくやることが好きなんで、すごいプレーとかを見たら、『うわっ、これ早くやってみたいな』みたいな感覚になるタイプなんです」

バスケットボールや卓球などを遊びで楽しみ、サッカーに限らず球技が好きと話す師岡。他の球技から得られるものも大きいと考え、自らボールを購入し、自宅でいつでも触れる状態にして感覚を磨いている。

「結局、手で扱えないものを足で扱えるわけないじゃないですか(笑)。自分は感覚派なんで、だから手で扱えるようにしたいなというふうにして、ずっとボールを触ってて、手で回したりとかしてるんですけど、感覚って本当に大事だなというのは思いましたね。そうやってボールを、結構、手で触るようになったりとかで、トラップの感覚だったりとかは掴めた気はしたかもしれないですね」

幼い頃からとにかくボールを扱うことが好きだった。真似したのは、ブラジル代表のネイマールのドリブル。相手を交わした時の快感がたまらなくてドリブルに夢中になった。そんな“サッカー小僧”の25歳は、プロになった今でもサッカーを楽しむという気持ちが心の底にある。

「自分はオリーセ(バイエルン・ミュンヘン)のようなプレーが大好きなんで。サッカーを本当に楽しんでるなという感じのプレー。世間一般で見たら、あのプレーを日本人がやったらどうなのかというのはありますけど、自分はああいうプレーが好き」

FWとしてどうやってゴールを奪うか。174㎝と小柄な師岡は、感覚を大事にしながらも周りとの体格差を補うために常に考えながらプレーしている。

「FWをやっている以上、点を取りたいんで。相手を抜いても点にはならないし、ポポとか(碓井)聖生みたいな身長や身体の強さというものもないんで、だったら彼らとは違う、他のところで点が取れたらいいなというのをいつも考えています。

やっぱり身長が特別に高いというわけでもない分、本当にたくさん考えなければいけないことがあるなというか、苦労することがあるなというのは日頃から思っているんで、とにかくずる賢く、相手より先にボールを触るだったりとかは強く意識しますね。本当に点が取りたいんです。どんなゴールでもいいと思っているし、すごい点じゃなくてもいいし、こぼれ球だったりとかは狙っていますね」

こぼれ球に反応した第3節の鹿島戦や前節の浦和戦のゴール、そして相手DFの前に入って押し込んだ今節のゴールは、いずれも師岡がいつも意識していることが表現された形。そうやって得点を積み重ねていることは自信につながるのではないかと話を振ったが、「自信にもつながると思うんですけど、やっぱりもっと決めないとチームを勝たせられません。そこは鹿島のレオセアラだったり、凄い選手とやってきたので、そこはまだ負けている部分がたくさんある」と全く満足していない。

それは、東京国際大学を卒業し、今夏、福岡に来るまで3年半過ごした鹿島での刺激的で学びの多かった経験があるからこその言葉だ。

「やっぱり鹿島でやってきて、正直、『いやそれで点を取られたら、それは俺には無理だ』みたいな感じのものがたくさんあったんです。レオセアラだったり、鈴木優磨だったり、そういうすごい選手を見てきて、『それで点を取れるんなら、自分がどんなに頑張ってもやっぱり二番手だな』と思ってしまう自分がずっといたというか…。だから、もうずっと悔しかったというのもあるし、悔しいからこそ、ここ(福岡)に来て勝負したいと強く思えたっていうのもありますね」

全てはシーズンを通してFWで試合に出て、自分なりのやり方で一つでも多くのゴールを取るために。負けず嫌いの師岡は、福岡で点取り屋としての存在価値を高めるべく初めての移籍を決断した。

「このチームでタイトルを取ることが全てだと思っているんで、タイトルを取るために自分の全力を注ぎます」と強い決意を胸に新天地での新たなシーズンを迎えたが、開幕からここまで6試合を終えてわずか1勝。現在、チーム最多となる3ゴールを挙げているものの、いずれの試合も勝利につながっていないだけに悔しい思いを募らせている。

「自分もまだまだだと思うんですけど、もっと戦わなきゃいけないのかなと。それは試合に出ている以上、試合に出てない人の分も背負っているので、そこは本当に最低限やらなければいけないといつも思っています」

常勝軍団で培った高い基準を自らに課し、魂のこもったプレーで福岡に熱を伝播させている師岡。これから勝利を積み重ねていくためには、日々のトレーニングからチーム全体で最後の質をもっと高めて、よりゴールを奪わなければいけないと考えている。

「段々成長している部分はあるんですけど、改善しなきゃいけないところがたくさんあるので、このチームに伸びしろがあるのかなと思っています」

チームを勝利に導くエースへ。「もっと点を取ってチームを勝たせなければいけない」と強い使命感を背負う師岡が今の福岡を引っ張っている。

Reported by 武丸善章