
「自分から強気に仕掛けてやるという気持ちがものすごく強くなりました」
ラトビアでの武者修行を終えFC琉球に復帰したMF幸喜祐心は、自身の変化について明るく力強い言葉でそう語った。今年1月から約半年間ラトビア1部のFKトゥクムス2000へ期限付き移籍し、欧州のタフなピッチを経験してきた21歳。現地で求められるパワフルなスタイルに適応するためハイスピードで体を動かす工夫や、一瞬で引き上げる体の使い方、スピードの切れ味を試行錯誤しながら追求してきた。
現場の指導者からの指示やチームメイトの助言もほとんどなかったというその環境で、幸喜は周囲の激しいプレーを見て自ら学び、答えを探しながら強気なマインドを養った。そして戻ってきた彼の姿は、クラブ関係者からも「帰国してから馬力が増して頼もしくなった」と評価されている。
とにかくゴール方向へボールを推し進める意識を持ち、「前へ、前に運ぶことは結構意識しています」と幸喜は語る。その言葉通り、その変化は復帰後のピッチで明確な形となって表れている。

台風の影響で延期となり、今月9日に代替開催された明治安田J3第1節のギラヴァンツ北九州戦(◯3-0)では、68分から途中出場。1-0と追加点の欲しい流れの中、右サイド深く進入した幸喜はボールを受けると落ち着いてゴール前を見極め、ニアサイドにいたFW上野瑶介に相手DF陣が引きつけられた瞬間を逃さず、空いたファーサイドへ絶妙なクロスを供給した。これに石浦大雅が頭で合わせ、幸喜にとってキャリア初となるクロスからのアシストを記録。「完全に狙い通りのボールを、大雅くんにピンポイントで上げられたのでよかったです」と振り返った。ステップアップに欠かせない結果を一つ残せたことで、手応えと自信を一層深めている。

ラトビアで掴んだこの感触が、一度失いかけていた「自分らしさ」を取り戻すきっかけともなった。2024年にFC琉球U-18からトップチームへ昇格した頃の幸喜は、慎重になるあまり、得意な前へのチャレンジよりも安全な選択をしてしまうことがあったという。しかし現地で揉まれたことで「元に戻ったっていうのかな」と語るように、本来持っていた前へ仕掛ける姿勢を取り戻した。途中出場であっても、高い運動量と強度でチームを助け、流れを変える役割を強く自覚している。
ただ直近の第6節・讃岐戦(◯1-0)では、判断が一瞬遅れてボールを失う悔しい場面もあった。出場時間が限られている中、だからこそ一瞬の判断にこだわり抜く大切さを実感し、次の試合への糧にしている。
チームが3勝1分2敗の5位に浮上し上昇気流に乗る中、迎える今節のレイラック滋賀FC戦は幸喜にとって特別な一戦となる。相手の小寺一生ヘッドコーチは、中学時代にスカウトとして幸喜をFC琉球アカデミーへ呼び込んだ恩人である。その後はFC琉球U-18の監督として直接指導し、高校時代に悩んでいた時期も温かく支え続けてくれた。「今の自分があるのは小寺さんやアカデミースタッフのおかげ。本当に感謝しています」と幸喜は口にする。恩師の前で成長した姿を見せるための最高の形はやはり自らの手で奪うゴールだ。

「まだ(アシスト)1ですけど、非常に大きく成長につながる1だったと思います。次はなんとしてもゴールが取りたい。プレーが悪くても結果を残せるように頑張ります」
滋賀戦への意気込みには、若手らしい素直で強い決意が込められている。「強気に仕掛ける」という前向きな気持ちを胸に、幸喜祐心は恩師が見守るピッチでさらなる一歩を踏み出せるか注目したい。
Reported by 仲本兼進