
「前に話したことと真逆になってしまって...ダメでしたね」
AC長野パルセイロはホームで明治安田J3リーグ第7節を迎え、FC岐阜に1-0と勝利。試合終了直前に決勝点を挙げた忽那喬司は、喜びに浸る前に反省の弁を述べた。
前節の栃木SC戦に続いて途中出場。栃木SC戦ではホームのピッチコンディションに順応できず、右足のFKが味方の手前で跳ね返されてしまった。今節は悔しさを糧に、「なんとかしますよ」と改善を誓ったが、90+1分のFKはまたも味方に届かず――。同じ轍を踏んだ。
クロスもセットプレーも合わず、キックのフィーリングは芳しくなかった。顔をしかめる場面も多かったが、「今日はそこで落ちる自分ではなかった。スタジアムの雰囲気も自分を押し上げてくれて、そういう気持ちにさせなかった」と心境を明かす。
シルバーウィーク2日目に迎えたホームゲームで、長野Uスタジアムには今季最多となる6,797人の観衆が集った。敵将の石丸清隆監督が愛媛FC時代の恩師であることを踏まえても、このままでは終われない――。そんな“矜持”を示したのは、終了間際の90+5分だ。
自陣からのロングカウンター。清水蒼太朗と庄司朗の2トップが前線で時間を作る。忽那はその間に全速力でピッチを縦断すると、庄司のラストパスが足元へ。迷わずダイレクトで右足を振り抜き、ゴール右隅に沈めた。
最後の最後にクオリティを発揮した。愛媛時代には石丸監督の前で何度もFKを決め、練習場の名前にちなんで「サンパークのデ ブライネ」と呼ばれていたという。その右足はセットプレーでは報われなかったが、流れの中から勝負を決める一撃。これぞ忽那喬司である。
恩返し弾を決めた忽那は、「マルさん(石丸監督)相手にはアシストどまりだったので、ようやくゴールを決められてよかった。イライラもすると思うけど...」と苦笑い。試合後には案の定、石丸監督から頭をポンと叩かれた。2人の師弟関係が垣間見える光景だった。
Reported by 田中紘夢