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【取材ノート:福岡】リーグ戦7試合ぶりの勝利を引き寄せたアビスパらしい戦う姿勢

2026年10月13日(火)


長いトンネルに一筋の光が差した。

2026/27明治安田J1リーグ第9節・岡山戦。8分に前嶋洋太が先制点を挙げ、一時は同点に追いつかれたものの、76分に橋本悠が勝ち越しゴールを奪い、リーグ戦では約2か月ぶりとなる勝利を収めた。


「なかなか勝てていなかったので、この一戦は選手からも、自分からも、スタッフからも、もちろん戦術的なことも必要なんですけれど、それを超える覚悟のところをしっかり持って臨むという約束というか、全員でそういうメンタルのもとで進んだゲームでした。準備期間は少なかったんですけれど、その中でやれることを最大限にして、今出せる選手のパフォーマンスは十二分に発揮してくれたと思います」(塚原真也監督)

開幕からリーグ戦8試合で1勝1分6敗とJ2降格圏に沈み、7日の天皇杯3回戦ではJ2の横浜FCに敗れた。さらに、今節の岡山戦は、キャプテンの上島拓巳と副キャプテンの見木友哉の主力2人が出場停止で欠場。逆境に置かれる中で、この試合に懸ける選手たちの思いは強くなった。

「今日の試合(岡山戦)はただの1試合じゃなかった」と前嶋は言い、「ここで負けたら今シーズンは厳しいものになるだろうし、ここが今シーズンを占う試合だったのかなと、みんなそれを感じていたし、今日(岡山戦)の結果次第で、自分たちのこれからのキャリアが変わってくるという思いで臨んだのが今日の試合だった」と北島祐二は振り返る。

内容よりもとにかく結果。今、自分たちができることに集中し、90分間徹底し続けた。選手たちの鬼気迫る姿勢。特に前半は、サッカーの原点と言うべき、球際・切り替え・運動量で相手を圧倒した。

「それがこのチームの良さでもありますし、もう1回そういうところを見つめ直そうと(前の試合から)この期間で話したので、それが出てすごく良かったと思います」(重見柾斗)

後半、「人生でもやったことのないようなミス」と前嶋が反省するプレーから同点に追いつかれても仲間はすぐに背番号29に「切り替えろ」と声を掛け、前を向かせた。サッカーはチームスポーツ。誰かがミスをしてもみんなでカバーをする。失点直後、ピッチに立つ選手全員で円陣を組んで落ち着きを取り戻し、そこからの勝ち筋を共有して立て直しを図ったように、これまで福岡は、選手同士のつながりを大切にしながらチーム一丸となって、喜びも味わい、苦しみも乗り越えてしぶとくJ1に生き残ってきた。

この日、ホーム・ベスト電器スタジアムに集った福岡のサポーターもアビスパらしく戦い続ける選手たちの姿に心の火を灯され、時間を追うたびに声援の熱量は上がった。そして、橋本の決勝ゴールが生まれる。

「前へのエネルギー、攻撃でも守備でも積極的なエネルギーというのを出せたのが今日(岡山戦)で、それが今までの良い時のアビスパだったと思いますし、みなさんの応援があったこと、慣れ親しんだスタジアムでやれたことで、そういうものにつながったと思うので、本当に雰囲気を作ってくださったサポーターに感謝したいです。

選手とサポーターが、勝ちたいという思いで一体となったのを感じていました。手拍子だったり、応援の声だったりは本当にピッチの中に届いているので、それが最後のアディショナルタイムでの粘りだったり、スプリントだったりにつながるので、ありがたいと思います」(北島)

今シーズンのターニングポイントになり得る試合で粘り強く、泥臭く勝ち切った。改めて思い起こさせられたJ1で勝っていくための「基準」。問題はここから。選手たちに一切慢心はない。今、最も大切なのは、チームとして目線を揃えて戦い続けること。これからの長いシーズン、勝利という結果を掴むと共に課題である堅守復活や得点力アップと向き合いながら内容も充実させていかなければならない。

「内容的に自分たちのサッカーができても、こうやって勝点3を取れなかったらまた同じことの繰り返しになると思うので、まずは、勝点3を取れたことをプラスに捉えるのと、ここから試合が続いていくので、より勝つ可能性を上げられるように、チームとしても、選手一人ひとりとしても、成長していったりとか、コミュニケーションをとって良いプレーをして、もっともっと良いチームにならないとなと思います。

今日(岡山戦)は勝点3を取れたのが一番大きいと思うし、ここから今日の反省だったり、今まで勝てなかったことの反省を活かして、よりJリーグの舞台でみんなで表現していければ、自ずと結果はついてくると思います」(前嶋)

連戦が続く中、次戦は14日のJリーグ ヤマザキビスケット ルヴァンカップ3回戦。公式戦では約2年ぶりとなる鳥栖との九州ダービーだ。

「本当に次が大事なのかなと。ここで満足をしてしまったら元に戻ってしまうし、次のカップ戦はダービーですけど、絶対に負けられない相手に対して、この勢いをどれだけ続けられるか、結果で続けられるかが大事だと思うので、何が何でも勝ちにいく姿勢を(岡山戦からの)残り3日間で作りたいと思います」(北島)

九州ダービーは、互いのカテゴリーやチーム状況など関係ない意地とプライドを懸けた一戦。勝ったほうが強い。岡山戦で手にした自信をさらに深めていくためにも勝利はマストだ。

Reported by 武丸善章